技術の進歩によって、ドローンは身近な存在になりました。
小型から大型のドローンまで、空撮映像から物資の運搬や薬剤散布、測量までさまざまな用途に活用されています。
空飛ぶ魔法のようなドローンですが、安全性を確保するためにドローンの重量による規制が細かく決められています。
そのドローンの重量規制とはどのようなもでしょう?なんでもありのように思われるドローンの実際のところはどうなのかを考えてみましょう。
100g以上のドローンの規制
機体重量が100g以上のドローンに対する規制は、主に飛行場所、飛行方法、機体登録に関する事柄があります。
ドローンの普及に伴い、法整備が進められてさまざまな規制が変化しています。
ドローンを扱う人は規制内容をしっかり把握して違反しないように注意しなければなりません。
飛行規制
2022年に一番大きく変わった飛行規制といえば、機体重量の対象が200g以上から100g以上に範囲が拡大されたことでしょう。
航空法ではドローンを飛ばしてよい空域・場所と飛行禁止区域が定められています。
これまで、この対象になるのは機体が200g以上のドローンでしたが、200g未満 (100g以上) の機体も航空法を守らなければいけなくなりました。
機体登録義務
飛行規制と同時に機体登録が義務化されました。その背景には、2021年に国土交通省に報告があったドローンのトラブル139件があります。
主なトラブルとしては、
- 電波が途切れて墜落
- 電線に引っかかって墜落
- 電柱にぶつかって墜落
- 操縦ミスで墜落
- 鳥にぶつかって墜落
- 強風で墜落
- トラック、園芸ハウス、建物にぶつかって墜落
などがあります。
100g以上のドローンの登録を義務化することで所有者を明確にし、トラブルがあった場合でも迅速に対応できるようにしました。
登録有効期間は3年です。飛行させる日までに、そのドローンの登録が完了してなければなりません。
100g未満のドローンの規制
100g以上のドローンは航空法で細かく規制されていると書きましたが、では100g未満のドローンはどうでしょうか。
100g未満のドローンは一般的にトイドローンと呼ばれていて、危険性が低いことから原則として諸々の許可等は必要ありません。
100g未満の規制は航空法改正によって大きく変わることはありませんが、とはいってもどこでも飛ばせる訳ではありません。例えば、空港等の離発着周辺エリアは言うまでも無く禁止区域です。
それ以外にも、「民法」「道路交通法」などのさまざまな法律や、各都道府県の条例などによって、以下のエリアでのドローン飛行は禁止、あるいは許可が必要となっています。
ドローン規制①航空法
ドローンは危険性も確かにありますが、先述したように100g未満のものは原則として飛行の許可を得る必要がありません。航空法の解釈では100g未満のものは無人航空機から除外されるとあります。
対象となるドローンは〝構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの 〟で、200g未満の重量(機体本体の重量には機体本体とバッテリーが含まれます)となります。
これまで「規制対象外だから」という理由で200g未満のドローンを所有していた方も多いと思いますが、法律が改正されたので注意が必要ですね。
ドローン規制②小型無人機等の飛行禁止法
国土交通省が指定する空港の敷地、区域とその周辺約300mの区域上空での飛行は禁止です。飛行させる場合は空港管理者の同意や都道府県公安委員会へ事前通知が必要です。
加えて、小型無人航空機の飛行禁止指定の有無にかかわらず、人口密集区域の飛行は原則として禁止されています。
改正後の100g未満などの重量に関わらず、すべての機体が対象で、小型無人機飛行禁止と記載されている場合は、重要施設とその周辺約300mは飛行禁止です。
違反すると1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金が課せられます。
ドローン規制③電波法
送信機で操縦して飛行させるドローンですが、送信機と機体の間で飛ばす通信(電波)にも法令があることを知っていますか?電波方も違反すれば処罰の対象となるのでこの機会に知っておいてください。
ドローンと送信機から発信される電波は、電波法によって日本では2.4GHz帯が一般的です。
正規品のドローンを操縦しているなら電波法に違反することはありません。正規品には「技適マーク」がついており、これは総務大臣の免許を取得している証になります。
海外から輸入・購入したドローンの場合は、「技適マーク」が付いているか注意する必要があります。
ドローン規制④都道府県、市町村などの条例
100g未満の場合は近くの公園などで気軽に飛ばしたいですね。でもその前に!まず、自治体の条例をちゃんと調べましょう。
全ての自治体で条例があるわけではありませんが、条例のある自治体はホームページでドローンに関する決まりを記載しているので確認するとよいでしょう。
くれぐれも違反をしないよう、周囲に迷惑をかけないようにしたいですね。
ドローン規制⑤プライバシー・肖像権や個人情報保護法
ドローンを飛行させる上で航空法を守ることはもちろんですが、個人情報保護法・肖像権・プライバシー権も重要になります。
ドローンは小型飛行機のため、普段は人の目に届かない場所を撮影することができます。
その時に写りこんでしまった映像・画像に対して被撮影者の同意が無くインターネット上で公開することは、プライバシーと肖像権を侵害するおそれがあります。インターネット上で公開するためには、撮影に同意を取ることを前提としつつ、難しい時にはぼかしを入れるなど、個人情報の保護に配慮する必要があります。
場合によっては民事上、被撮影者に対して損害賠償を支払うことになります。
他人の家の中を写さないようになるべく高度を上げず、操縦者の周辺のみで飛ばすといった配慮が必要ですね。
ドローン規制⑥私有地
無許可で他人の土地でドローンを飛ばさない!というのはいうまでも無い事ですが、万が一このような飛行を行ってしまった場合、民放207条のもとに損害賠償請求を受ける可能性があります。
また、家が人口密集地にあって、200gを超えるドローンを庭先で飛行させるときは許可が必要で、空港に近い場所の家に住んでいる場合も同様に許可が必要です。
また、庭先だけど150m以上の高さで飛ばしたい時も許可が必要になります。
機体が200g以上であっても家の中で飛ばすのであれば許可の必要ありませんが、中型以上のドローンはプロペラも大きくモーターも強力なのであまりお勧めはしません。
ドローンを飛ばすときは「所有者の許可があるからOK」または「飛行申請出したからOK」だけではないので注意してください。
ドローン規制⑦道路交通法
道路交通法とは「道路交通の安全と円滑」を実現するための法律です。
- 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物または物件を設置してはならない
- 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない
公道上でドローンの飛行や離着陸を行う場合は、〝道路において工事又は作業をしようとする者〟という道路交通法第77条に当たるので、道路使用許可申請書を管轄の警察署に提出する必要あります。
車や歩行者がいる道路において交通の妨げになる恐れがある場合には道路使用許可が必要です。
ドローン規制⑧河川法・海岸法
現在は基本、河川・海岸でドローンを禁止するという法律はありません。ですが、河川区域内にも民家があり私有地が存在しているので、飛行する時は所有者の許可が必要です。
また一部区域では河川も川上もDID区域(人口三密集地)となっている場合もあるので注意が必要です。
周辺環境と安全のため、地域によってはドローンの飛行を禁止としている場所もあります。
海岸においては〝公衆の海岸の適正な利用〟が目的であり、都道府県知事・市長村の管理に任せられていますが、飛行許可の有無はそれぞれなので事前に確認をしたほうがよいですね。
海水浴場では安全とプライバシー保護の観点から飛行が制限されてる場所があります。
現在では少ないですが、飛行禁止の場所もあります。禁止の看板が無くても管轄する役所に確認してみるといいでしょう。
ドローン規制⑨港則法・海上交通安全法
港則法とは〝港内(施行規則で定める港とその区域)における船舶交通の安全を確保し、港内の整理せいとんを図ることを目的とする〟法律です。
一方、海上交通安全法とは〝船舶交通が輻輳(ふくそう)する海域における船舶交通について、特別の交通方法を定めるとともに、その危険を防止するための規則を行うことにより、船舶交通の安全を図るとこを目的とする〟法律です。
海上でのドローン飛行については、基本的に許可や届け出は不要です。
ただし、作業船を配置する場合や海上にブイなど工作物を設置する時など、ドローン徐行によって船舶の安全に支障をきたす恐れがある場合は飛行許可が必要になります。
いずれも前もって確認をしておくと安心ですね。
ドローン規制⑩都市公園法・自然公園法
自然公園とは環境大臣または都道府県によって指定された公園のことをいいます。
- 国立公園=我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地〔環境大臣〕
- 国定公園=国立公園に準ずる優れた自然風景地〔環境大臣〕
- 都道府県立自然公園=優れた自然の風景地〔都道府県〕
ドローンの飛行に関しては比較的緩やかではありますが、公園によってルールが異なることが多いため、適時確認が必要です。
因みに都立公園はドローン飛行禁止です。
ドローン規制⑪その他
主に重要施設として、原子力施設、自衛隊基地、発電所、石油コンビナート、防衛省、警察庁、国土交通省、外務省では、連名で米軍施設やその周辺の飛行を禁止しています。
下記では、知っとくべきドローンの機体登録制度についてご紹介してます。
【関連記事】
【ドローンの機体登録制度とは?】手順や費用も紹介
下記では、機体登録制度と関連が深いリモートIDについてご紹介しています。併せてご覧ください。
【関連記事】
【ドローンのリモートIDとは?】概要や搭載する方法を解説
許可申請が不要な場所の探し方
ドローンは屋内で飛ばすのもありですが、飛行可能か事前に良く調べるなどして屋外で飛ばしたいですよね。しかし場所によっては飛行自粛が提示されている場合があるので要注意です。
趣味で空撮を楽しむ多くの人は、許可申請が不要で飛行できる場所を見つけたいと思いますよね。申請許可が不要かどうかをを知る方法をご紹介します。
下記ではドローンを飛ばす場所を探す方法をご紹介。
【関連記事】
レンタルしたドローンはどこで飛ばせるの?飛行エリアの探し方 – Drosatsu
DJI安全飛行フライトマップ
ドローンメーカーとして有名なDJI-JAPANが開始した「DJI安全飛行フライトマップ」でドローンを飛行させる事ができるどうかの施設の情報を得ることができます。大いに活用しましょう。
SORAPASS(ソラパス)
ドローン専用飛行支援サービスの「SORAPASS(ソラパス)」は、日本初のドローン・サービス・プラットホームです。
アカウントを登録して利用すれば、ドローンの飛行禁止区域が一目で分かります!飛行申請のサポートサービスを利用することもできます。
ドローン飛行場
ドローンの飛行訓練を安全な場所で行うための施設です。正しいドローン操縦技術や知識を得るためには最適と思われます。
最近はドローン飛行場を整備している地域も多くなってきました。インターネットで調べれば最寄りのドローン飛行場が見つかるはずです。
まとめ
小さな100g以下のドローンを飛ばすだけでもありとあらゆる法の網の目があります。
それもこれも全ては安全に楽しくドローンを飛ばすため。トラブルを避けるためにしっかりと事前に調査するようにしましょう。
ドローンレンタルのドロサツ‼では、空撮用や産業用ドローン、水中ドローンなど幅広い用途のドローンレンタルが可能です。
個人の方も法人の方も、ドローンのレンタルなら機体保有台数業界No.1のドロサツ‼にご相談ください。
監修者

森本 洸生(もりもと こうき)
株式会社 drone supply &control (ドローンエバンジェリスト)
<略歴>
中学生の時に国土交通省の全国包括申請許可取得し、鹿やイノシシによる農作物被害を守る害虫駆除のプロジェクトに参画するなど、若い世代のドローン第一人者。現在では様々なドローン事業に参画するなど多方面で活躍中。
<所有する資格>
- DJI CAMPスペシャリスト
- DJI CAMPインストラクター
- DJI CAMP ENTERPRISEインストラクター
- 無人航空従事者試験1級
- CRPI公認指導員
- 総飛行時間400時間以上