21世紀になり、日々進歩するさまざまな技術は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。その中でも特に「空の産業革命」とも称されるドローンの進化には目を見張るものがあります。
これまでのドローンはわずかな時間しか飛行することができず、業務利用には程遠いとされていましたが、近年の研究と技術の向上により飛行時間は驚異的に伸びています。
今、最先端のドローンは1時間近くにもおよぶ長時間飛行が可能になりました。
飛行時間の長いドローンは農業や点検業務、災害対応などさまざまな分野で活用されています。今後さらに技術が進化すればより長時間の飛行が可能なドローンが登場することが期待されますね!
ドローンを操作するうえで、最大のポイントは時間との闘いではないでしょうか?この問題について考えてみましょう。
急いては事を仕損じる。誰が言ったか立派なお言葉。しかし、なるべく短時間で作業をクリアしたいのもまた事実。では、本題へGO!
ドローンの平均的な飛行時間
ドローンで空撮を楽しんでいる時に、飛行時間を気にする方は多いことでしょう。
国内で主に流通しているカメラドローンの平均的な飛行時間は20~30分程度となっています。
しかし、これはあくまでメーカーが公表している最大値を基準にしているので、実際に飛行を行うとこれよりも短くなることがほとんどです。
急加速や動きの多い飛行を繰り返したり、風が強い中で飛行させたりするとバッテリーの消耗が多くなり、もっと短い飛行時間になります。
途中でバッテリー切れを起こしてしまうと、操作不能に陥り墜落して破損してしまう可能性があるため、バッテリー残量をすべて使い切ろうとするのではなく、余裕をもって交換する必要があります。
あくまで一例とはなりますが、機体価格と飛行時間はほぼ比例しています。
- 5,000~10,000円:約5分
- 10,000~30,000円:約7~10分
- 30,000~50,000円:約10~20分
- 50,000円以上:約20分以上
特に初心者の方は、撮影に夢中になってバッテリー残量を見落としがちなので注意が必要です。
あまり遠くまで飛ばしてしまうと戻ってくる分のバッテリーが不足してしまう可能性もあるため、慣れるまでは無理のない範囲で空撮を楽しむようにしてください。
ドローンの飛行時間は最長どれくらい?
国内で農薬散布に使用されるドローンは60分ほど飛行できる機種がありますが、数百万円もするような価格帯なので、一般ユーザー向けのドローンとは異なります。
一般向けカメラドローンでは、DJIの最新機種 Air3の飛行時間46分で、これはMavic3クラスと同じです。
長時間飛行が可能なドローンは大型になる傾向があり、大型になれば購入費用も高くなるため、どの程度ドローンを飛行させるのか・どのようにドローンを活用するのかを考えて機材構成を考えましょう。
ドローンの飛行時間が長いメリット
長時間の飛行が可能なドローンは、広い範囲をカバーする作業や監視・点検に向いています。
例えば、産業用ドローンを使用して森林や農地など広大な範囲を効率的に巡回して作業を行うには、飛行時間が長いに越したことはありませんよね。
たくさんのバッテリーを持ち込むのが大変な現場であれば、1本あたりのバッテリー容量が非常に重要になります。
また、特殊なセンサーやカメラを使用するような場面においては、自動航行機能を使用することも多いため、飛行計画にあわせた機材を選ぶ必要があります。
飛行時間が長ければ頻繁にバッテリーを交換する手間が省けて、より効率的に作業を進めることができます。
災害現場においても、状況把握や救助活動などは時間との勝負になるため、飛行時間の長さはとても大切です。
判断材料として価格も非常に気になるところですが、性能面も考慮して後悔しないようにしたいですね。
ドローンの飛行時間が短い場合のリスク
当然ですが、飛行時間が短いドローンは限られた時間でしか任務を遂行することができません。そのため、広範囲にわたる作業の場合は途中でバッテリーの交換が必要になり作業効率が低下します。
短い飛行時間ではデータ収集に限界があり、飛行時間が長いドローンと比べてバッテリーを交換しながらの作業では充電も必要になるため作業が断続的になります。その分運用コストや作業時間が増加してしまいますね。
またドローンは基本的に屋外の現場で使用することになるので、充電環境を確保するのも大変です。
また短い飛行時間で作業を急いでしまうと、ケアレスミスの発生にも繋がります。
飛行自体は問題なかったとしても、取得したデータ量が足りなかった・精度が出なかったという問題が起きることも考えられます。
一般向けコンシューマー機では、ついつい飛行に夢中になってしまいがちです。
飛行時間には離陸・着陸と目的の場所までの往復時間も含まれることはもちろん、飛行環境によっても大きく変動する可能性があることを忘れないようにしましょう。
途中でバッテリーが切れてしまうとその場で緊急着陸をしたり、最悪の場合は墜落したりする危険もあります。飛行可能時間の目安としては、およそ75%~80%と考えておくといいかもしれません。
ドローンの飛行時間を長くするポイント
ドローンの飛行時間はバッテリーの性能で決まります。
これは使用者にとってはどうにもできませんが、使用方法によってはバッテリーの消耗スピードをある程度抑えることもできます。
飛行時間を長くするポイントをご紹介しますので、是非試してみてはいかがでしょうか。
ホバリングで動きを安定させる
まず、バッテリーの消耗を最小限に抑えるためには無駄な動きをしないことが重要です。
ゆっくりと離陸させホバリングを安定することを確認してから撮影を行うことで、モーターへの負荷を最小限にとどめることができます。
飛行前にバッテリーを温める
冬場にドローンを使用する場合は、冷え切ったバッテリーをある程度暖めてから使用することをお勧めします。
あまりにも機材が冷たすぎると温めるためにパワーを使うため、通常時よりも消耗が早くなります。
こうした状況に対応するため、一部の産業用ドローンにおいては自己発熱型バッテリーが使用されているものもあります。
高度を上げ過ぎない
飛行時間を延ばすには、ドローンの高度を上げ過ぎないようにするのも一つの方法です。
上空は非常に強い風が吹いていることが多く、風に流されないようにモーターが常に調整されるため、バッテリーの消耗が早くなってしまうのです。
機体重量を減らす
ドローンの積載量を減らして機体重量を見直すのも一つの方法です。
救援物資を運んだり農薬を散布する場合は、搭載量が多いほどパワーが必要でバッテリーを消耗します。機材を搭載している場合も同様に、積み荷の量と飛行時間を考慮して見直すようにしましょう。
飛行時間の長いドローン
空撮、航空測量、点検、災害対応など広い範囲で活躍するドローンにとって、1回の充電でどのくらい飛行できるかは重要なポイントで、飛行時間の長さは使用者が最もこだわる事の一つでもあります。
ここからは飛行時間の長いドローンをご紹介していきます。
MATRICEシリーズ(600・300・30)
MATRICE 600は既に生産が終了していますが、Matriceシリーズは産業用ドローンとして根強い人気を誇るモデルです。
現在はMatrice 300 RTKとMatrice 30シリーズが主流となっており、いずれも長時間のフライトやパワフルな飛行性能、専門性の高いカメラなどで支持を集めています。
最新モデルはMatrice 30/30Tで、Matrice 300 RTKよりも25%小型化されて、携帯性が格段に向上しました。従来のシリーズ品と同様に防塵防滴機能も備わっており、より幅広い現場での活用が進んでいます。
▼Matrice 30シリーズのスペック
- サイズ:365×215×195mm(長さ×幅×高さ:折り畳み時)
- 重量:3770±10g(バッテリー2個含む)
- 最大風圧抵抗:12m/s
- 最大飛行時間:41分
- 動作環境温度:-20℃~50℃
- ズームカメラ:センサ 1/2インチCOMS
- 広角カメラ 1/2インチCOMS
- サーマルカメラ:非冷却VOxマイクロボロメーター
- レーザーモジュール:測定精度 (±10.2m+D×0,15%)
測定範囲 3~1200m
- 障害物検知範囲:前方0.6m~38m
上方/下方/後方/側方 0,5~33m
【関連記事】
何がどう新しいのか?Matrice 300 RTK対応のP1とL1について調べてみた
Hubsan Zino PRO
ドローン大国中国のメーカーHubsan (ハブサン)の製品で、DJIのMavic Miniシリーズのライバル機として登場したHubsanのZINO MINIの上位機種になります。
前モデルZINO MINIには搭載されてない障害物検知機能などが追加されましたが、その分最大飛行時間が若干短くなり40分→35分へ変更されています。
- サイズ:202×161×62mm
- 重量:249g
- 最大飛行時間:35分
- 最大飛行距離:6km
DJI Air2S
DJI Air2Sは2021年発売されたドローンで、一般コンシューマー向けの完成形と言われた全機種のMavic Air2から更にカメラがアップグレードし、より高解像度の撮影ができるようになりました。
1インチCOMSセンサーを搭載したドローンはこれまでプロ仕様とされていましたが、DJI Air2sに搭載されたことで一般の方でもプロ並みの映像が撮れるようになりました。ちなみに1インチセンサーというのは、コンパクトデジタルカメラでいうと高級機種にあたるそうです。
軽い操作感で動きも俊敏、ドローンとの一体感を味わえます。
- サイズ:180×97×77(長さ×幅×高さ:折り畳み時)
- 重量:595g
- 最大風圧抵抗:10.7m/s
- 最大飛行時間:31分
- センサー:1インチCOMS
- 動画解像度:5.4K
- 動作環境温度:-10℃~40℃
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Mavic air2を前モデルMavic airと比較レビュー
Mavic 3 PRO
DJI Mavic3 PROは2023年4月に発表された新しい機種で、人気のMavicシリーズの最上位モデルになります。
異なる焦点を持った三眼カメラを搭載し、通常のハッセルブラッドカメラに加えて望遠カメラも備わっています。一度のタップで撮影構成を簡単に切り替えることができ、操作性も格段に向上しています。
- サイズ:231.1×98×95.4mm(長さ×幅×高さ:折り畳み時)
- 重量:958g
- 最大風圧抵抗:12m/s
- 最大飛行時間:43分
- 動作環境温度:-10℃~40℃
- イメージセンサー :Hasselbladカメラ 4/3型COMS
中望遠カメラ 1/1,3インチCOMS
望遠カメラ 1/2インチCOMS
- 解像度:Hasselbladカメラ 5K
中望遠カメラ 4K
望遠カメラ 4K
Parrot ANAFI
消費者向けドローンと関連製品の製造で知られるフランスのパロットから2018年に発売された、一般消費者向けのドローンです。軽量で折りたたみ式、低価格でありながら4K撮影が可能です。航空写真とビデオ撮影用に設計さていて、愛好家の間で人気があります。
超小型故、土木、測量に大活躍。カメラの可動域も広いため業務用としても活用されています。
- サイズ:244×67×65mm(収納時)
- 重量:320g
- 最大飛行時間:25分
まとめ
いかかでしたでしょうか。ドローンの飛行時間については、機体のサイズやメーカーによって違いがあることが分かりました。
また、使用法によっても大きく変わってきます。
ドローンの活用において、飛行時間の問題は切っても切れないものです。
「想定よりもバッテリーが足りず、最後まで撮影ができなかった」ということにならないように、事前にしっかりと飛行計画を立てて機材の準備をしておくようにしましょう。
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監修者
森本 洸生(もりもと こうき)
株式会社 drone supply &control (ドローンエバンジェリスト)
<略歴>
中学生の時に国土交通省の全国包括申請許可取得し、鹿やイノシシによる農作物被害を守る害虫駆除のプロジェクトに参画するなど、若い世代のドローン第一人者。現在では様々なドローン事業に参画するなど多方面で活躍中。
<所有する資格>
- DJI CAMPスペシャリスト
- DJI CAMPインストラクター
- DJI CAMP ENTERPRISEインストラクター
- 無人航空従事者試験1級
- CRPI公認指導員
- 総飛行時間400時間以上