業務の効率化や低コスト化、業務施工のリスク低減を目的として、産業用ドローンの導入があらゆる業界で増加傾向にあります。
「産業用ドローン」といってもその種類は数多く、使用目的によって搭載される機能が全く異なります。
今回は、DJIから"エントリーモデル"として登場した、【Mavic 3 Enterpriseシリーズ】のそれぞれの特徴、用途などを解説していきます。
Mavic 3 Enterpriseシリーズのラインナップ
産業用ドローンの業界標準を一新した【DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズ】は、 「Mavic 3E」「Mavic 3T」「Mavic 3M」の3種類があり、どれもコンパクトに片手で持ち運びができ、展開してすぐに業務に取り掛かることが出来ます。
ベースとなったのはプロフェッショナル向け空撮ドローン【Mavic 3】で、優れた飛行性能を有していることから、ベテランパイロットだけではなく初心者にも快適に操作できる産業用ドローンの"入門向け"として大きな注目を集めています。
①Mavic 3 Enterprise
DJI初のRTKモジュールを搭載し、測量用途で人気を博した【Phantom 4 RTK】は機体重量が1,300gを超えており、産業機の中では中型と位置付けられているモデルです。
Matriceシリーズと比較すれば軽量ですが、折り畳みが出来ない為携帯性に優れているとはいえず、周辺機器をすべて持ち運ぶとなるとそれなりの準備が必要でした。
今回新たに登場したMavic 3 Enterpriseそれよりも小型設計となっており、測量向けに最適化された高性能カメラを搭載した最新モデルです。
- 重量 915g
- 折り畳み時 221×96.3×90.3mm
- 展開時 347.5×283×107.7mm(長さ×幅×高さ)
- 最大風圧抵抗 12m/s
- 運用限界高度 6000m
- 最大飛行時間(無風)45分
- 動作環境温度 -10℃~40℃
▼産業用ドローンの具体的な活用事例はこちら
【DJIドローンレンタル活用事例】測量・外壁点検調査や導入サポートをご紹介
②Mavic 3 Thermal
その名の通り、サーマル(赤外線)カメラで見えない情報を可視化でき、高温アラート・カラーパレット等の機能を活用することで、目標対象の捜索や即断即決が迫られる場面で活躍するドローンです。
- 重量 920g
- 折り畳み時 221×96.3×90.3mm
- 展開時 347.5×283×107.7mm(長さ×幅×高さ)
- 最大風圧抵抗 12m/s
- 運用限界高度 6000m
- 最大飛行時間(無風)45分
- 動作環境温度 -10℃~40℃
③Mavic 3 Multispectral
Mavic 3 Multispectralのリリースによって、近代農業の発展を促進することができるようになりました。
環境モニタリングの分野で幅広い業務に対応し、精密農業の生産性と効率化を高めコストを削減することが出来ます。
- 重量 951g
- 折り畳み時 223×96.3×122.2mm
- 展開時 347.5×283×139.6mm(長さ×幅×高さ)
- 最大風圧抵抗 15m/s
- 運用限界高度 6000m
- 最大飛行時間(無風)43分
- 動作環境温度 -10℃~40℃
▼Mavic 3 Multispectralカメラの比較はこちら
精密農業を加速させる「Mavic 3 Multispectral」とは?P4 Multispectralと比較してみた
Mavic 3 Enterpriseシリーズの用途
Mavic 3 Enterpriseシリーズは、DJIのフラッグシッププロシューマー機Mavic3シリーズの性能を引き継ぎ、幅広い業務に対応できるように設計されています。
3モデルのそれぞれの違いは主にカメラの性能によるところが大きく、業務内容別によるさまざまな特性を生かした活用シーンをご紹介します。
手軽に測量をするならMavic 3 Enterprise
小型ながら本格的に業務こなすMavic 3 Enterprise は12MPの広角カメラを搭載し、3.3µm(0.001mm)の大きなピクセルサイズを持ち、低照度写真モードと共に使用することで薄暗い状況下での撮影性能が大幅に向上します。
モーションブラー現象の発生を防ぐメタニカルシャッターを備え、0.7秒間隔の連写に対応しています。
搭載された56倍ズームの望遠カメラは重要な情報を遠くからでも見逃しません。
cmレベルの正確な測位を実現するRTKモジュールを搭載し、1回45分間の飛行で最大2平方キロメートルの広さの測量がより迅速にできます。
赤外線カメラを活用した点検・調査ならMavic 3 Thermal
測量用カメラを搭載しているMavic 3 Enterpriseに対し、Mavic 3 Thermalは赤外線カメラを搭載した上位モデルになります。
解像度640×512ピクセルで、スポット測定とエリア測定の2種類の温度測定方法に対応し、見えない情報を可視化します。
赤外線カメラと望遠カメラは2画面連動の28倍まで連続ズームができ、2画面を簡単に比較することができます。
広角カメラ、望遠カメラ、赤外線カメラという3つのカメラの搭載で、消防活動、捜索救助活動、点検・夜間業務などで活躍します。
農作物の育成調査にはMavic 3 Multispectral
2022年12月にDJIからが発表されたMavic 3 Multispectralは、作物の成長情報を素早く捉え、より効果的な生産性を実現するためのマルチスペクトルカメラを搭載した最新のドローンです。
最高速度1/2000sのメカニカルシャッターで最速0.7秒の最速連続撮影、4眼式マルチスペクトルカメラでは人の目では感知でできない細部まで作物の状態をより深く知る事ができます。
この2つのカメラを組み合わせることで、高精度な航空測量、作物の生育状況を把握し、リアルタイムで解析結果につなげることが出来る様々な情報を収集します。
Mavic 3 Enterpriseシリーズを利用する時の注意
業務を格段に効率化できるMavic 2 Enterpriseシリーズですが、利用するにあたっていくつか注意すべき点があります。
Matrice 300 RTKと比べると飛行時間が短い
産業機と言えば、最先端技術による高いパフォーマンスを発揮するMatrice 300 RTKが人気ですが、Mavic 3 Enterpriseシリーズは小型設計である分バッテリーも小さいのでMatrice 300 RTKより飛行時間が少し短くなります。
Matrice 300 RTKが55分なのに対し、Mavic 3 Enterpriseシリーズは45分(Mavic 3 Multispectralは43分)となっています。
カメラの付け替えができない
Mavic 3 Enterpriseシリーズはカメラの付け替えが出来ないので、フルサイズセンサーを搭載したZenmuseカメラシリーズに対応していないません。
純正のバッテリーステーションが発売されていない
Matriceシリーズは、機体用バッテリーと送信機用バッテリーをまとめて充電できるバッテリーステーションが販売されていますが、、現状Mavic 3 Enterpriseシリーズに対応した純正品はありません。
機体と送信機を同時に充電できれば利便性もあがるので、是非とも販売してほしいものです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
迅速かつ正確、低コストで安全に業務を遂行できる産業用ドローンは、基本的に高額なため、エントリーモデルのMavic 3 Enterpriseシリーズのお試し利用をおすすめします。