自動追尾機能付きドローンは、被写体を自動的に追尾して撮影する機能を搭載
したドローンです。人や動物、乗り物など、動く被写体を撮影する際に便利で
す。
自動追尾ドローンを使って撮影する場合は、障害物への衝突リスクほか、道路
交通法や航空法の規定に引っかからないように十分注意しましょう。
今回は、自動追尾機能付きドローンの注意点や、2021年10月時点でおすすめ
の機種3選を紹介します。
ターゲットをさまざまな角度から空撮できる自動追尾機能付きドローン
近年、さまざまなシーンで活用されているドローンですが、その普及に伴い、最新技術によって機能や性能もどんどん進化しています。特に注目したいのが、空撮用ドローンに搭載されている「自動追尾機能」です。
自動追尾機能とは、動く被写体を自動で追尾して撮影する機能です。F1など高 速で走る車や広大なサバンナを走る動物の群れ、海の上を走るモーターボートなど、動きが早いもの、激しいものを常にカメラの画角に入れて撮影するために高度なテクニックが必要なうえ、対象の被写体のスピード次第では限界があるでしょう。
ドローンの自動追尾機能なら、動く被写体を認識し、自動で追尾してくれるた め、これまで至難の技だった撮影シーンも簡単に撮影できるようになったのです。
自動追尾には2つの種類がある
DJI製ドローンの自動追尾モードには、この製品ならではの「フォローミー」と「アクティブトラックモード」というの2つの機能があります。
フォローミーは、機体とモバイルデバイス間の通信を可能とする機能です。フォローミーの起動をするには、最低でも高度10m以上の飛行が求められます。10m以下では飛行しないため、被写体に近づいたダイナミックな映像は撮れません。
アクティブトラックモードは、民生用ドローン市場において世界シェアの7割を誇るDJIドローンに採用されている自動追尾モードです。GPSを追尾するフォローミーとは異なり、「ビジョンポジショニング」というシステムによって被写体を追尾します。
ビジョンポジショニングは、被写体をドローン本体に「追尾対象」として認識させてから撮影する方法です。認識した被写体が動けば、一定の距離を保って追尾します。機種によって機能が発揮する高さが異なるため、フォローミーよりも柔軟に被写体を撮影できるところが魅力です。
デメリットは、ステレオカメラで周囲を認識するため、被写体に似たもの現れた場合や、明るすぎる・暗すぎるといった環境の場合、被写体を見失ってしまうケースもあります。しかし、最近では最新技術によって改良が重ねられており、一度捕捉した被写体を見失うことは少なくなってきています。
自動追尾機能付きドローンを使う際の注意点
自動追尾機能付きドローンを使用するときは、次の3つのポイントに注意しましょう。
1.場所によっては道路使用許可を取得する必要がある
ドローンは、平地の道路や歩道、路肩など、安定した場所での離発着が求められます。しかし、交通の妨害になるような物を道路に置くことは道路交通法の第76条第3項で禁止されているため、そういった場所でドローンを使用する場合は、道路使用許可を取得しなければなりません。[注1]
なお、公道に沿ってドローンを飛行させることや、非常駐車帯にドローンを一時的に停車させることも禁じられています。公道で一定の高さを維持してドローンを飛行させて撮影する場合は、道路使用許可が必要だと考えておきましょう。
[注1]e-Gov法令検索:道路交通法 第七十六条 第三項
2.障害物への衝突リスク
自動追尾機能付きドローンは、俯瞰で空撮するだけでなく、さまざまなアングルで被写体を捉えることができるため、よりダイナミックな映像が撮影できます。一方で、被写体を追尾している最中に、電柱や建物の屋根、木の枝、対向車などに衝突してしまう可能性もあります。また、山道などで撮影する際、追い風にあおられてドローンの機体が飛んで行ってしまうケースもあるでしょう。
平地ではなく高低差のある山道で撮影する場合は、フォローミーではなくアクティブトラックモードを使用しましょう。
フォローミーは送信機に搭載されたGPSを追尾するため、起動時点での高度を取得し、その位置を維持して飛行します。高低差の変化に対応できず、上り坂で字地面に激突してしまう可能性があるからです。
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3.バイク走行中のドローン撮影は避ける
ツーリングなどでバイクを走行させながらドローンを撮影する行為は、目視外飛行に該当します。また、航空法では、「飛行の際、第三者の人物や建物、自動車とのあいだに30m以上の距離を保つこと」という規制があります。バイクを運転しながらドローンをコントロールして操縦できないため、人や建物、自動車に対し、30m以内の距離を保てない場合もあるでしょう。そのため、走行中の使用は原則禁止だと考えておくべきです。
自動追尾機能付きドローンおすすめ機種3選
以前は高価なドローンにしか搭載されていなかった自動追尾機能ですが、最近ではリーズナブルな小型ドローンにも搭載されており、選択の幅も広がりました。ここでは、おすすめの自動追尾機能付きドローンを3点ご紹介します。
1.Mavic 3
最長飛行時間 4621 分、DJI 開発の高性能自動追尾機能付きドローンです。 FHD4K カメラや3方向障害物検知機能全方向デュアルビジョンシステム、3軸ジンバルなど補助のために備わった赤外線センサーなど優れた検知システムのの多彩なほか機能ほか、手でジェスチャーするだけでドローンの起動、操作、撮影ができるスマートキャプチャ搭載で、使いやすさも抜群です。 Mavic3 の詳細は以下をご確認ください。https://www.dji.com/jp/mavic-3/specs
2.DJI Air2s
Mavic 3 同様、DJI が手掛けたドローンが DJI Air2sです。 Mavic Air2 の後継機で、重量が 595g で軽量なため持ち運びしやすいという特徴が挙げられます。また、映像はFHD/120fps で対応のため、ハイクオリティな空撮映像が撮影できます。
DJI Air2s の詳細は以下をご確認ください。https://www.dji.com/jp/air-2s/specs
3. Phantom4 Pro Plus V2
DJI の人気ドローンである Phantom シリーズの 1 つです。アクティブトラック機能によって、被写体に合わせてスピードを調整しながら追尾します。ディスプレイに指で描いた軌道に沿って自動飛行する「DRAW」機能ほか、機体の前後左右、下の5方向に障害物認識機能が搭載されています。 Phantom4 Pro Plus V2 の詳細は以下をご確認ください。https://drosatsu.jp/products/phantom4-pro-plus-v2
自動追尾機能付きドローンを使用する際は道路交通法や航空法に注意
自動追尾機能付きドローンは、被写体を自動で追尾して空撮するため、動き早 い、または複雑な被写体でも簡単に撮影できる便利なドローンです。ドローンを公道で飛行させて撮影することは、道路交通法によって原則禁止とされています。撮影をした場合は、道路使用許可が必要であることを覚えていきましょう。
また、バイクを走行させながら飛行させる行為は目視外飛行ほか、航空法の 「30m未満の距離での飛行」の規定にも該当するため、基本的には禁止だと考えておくとよいでしょう。自動追尾機能付きドローンで撮影を楽しむ場合は、周辺の環境や法律に十分注意することが大切です。
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監修者
森本 洸生(もりもと こうき)
株式会社 drone supply &control (ドローンエバンジェリスト)
<略歴>
中学生の時に国土交通省の全国包括申請許可取得し、鹿やイノシシによる農作物被害を守る害虫駆除のプロジェクトに参画するなど、若い世代のドローン第一人者。現在では様々なドローン事業に参画するなど多方面で活躍中。
<所有する資格>
- DJI CAMPスペシャリスト
- DJI CAMPインストラクター
- DJI CAMP ENTERPRISEインストラクター
- 無人航空従事者試験1級
- CRPI公認指導員
- 総飛行時間400時間以上