2025年1月8日、DJIから新型の産業用ドローンがリリースされました。
急成長を続けるドローン業界の中でも、DJIは常に世界をリードして新機種を発表しています。
これまでは、使い勝手の良いコンパクトなMavic 3 Enterpriseシリーズがエントリーモデルとして位置づけられていましたが、Matrice 4シリーズの登場により、今後「DJI産業用ドローン」の開発はMatriceシリーズに集約されていくことが予想されます。
Mavic 3 Enterpriseシリーズでは、可視光カメラを搭載した測量向けモデル、赤外線カメラを搭載した点検向けモデルが発売されていましたが、今回のMatrice 4シリーズも同じく可視光カメラ・赤外線カメラを搭載した2つのモデルが発表されています。
それぞれどのような違いがあるのか、またどのような作業に適しているのか比較してみましょう。
ドローンの世界における産業用ドローンの立ち位置
産業用ドローンを活用するメリットといえば、作業時間の短縮やコストの削減です。
一般的にコンシューマー機と呼ばれるドローンにはない特殊な機能を持ち、点検・測量・調査・物流・警備など、あらゆるシーンを想定して開発されています。
元々は産業用ドローン自体が非常に高価で、導入した分の原価を回収するまでに時間がかかること、また定期的なメンテナンス費用もかさむため、結果として導入するメリットを得られる事業者が限られてしまうという実態がありました。
しかし、近年では産業用ドローンのラインナップも豊富になり、予算や事業規模に応じてドローンを選択できるようになってきています。
今回登場したMatrice 4シリーズは、産業用ドローンの中では安価で小型なモデルであり、今後エントリーモデルの基準となることが予想されます。
世界的に見てもドローンの社会実装は確実に進んでおり、今後も産業分野に向けた開発は積極的に行われていくでしょう。
「これまで産業用ドローンを使ったことが無い」「原価回収できるか分からず諦めていた」といった方には、是非とも今回のモデルの導入をご検討いただきたいと考えています。
数多くのメーカーから産業向けドローンが発売されていますが、DJIのドローンは手頃な価格帯で、手厚いサポート体制も用意されています。
国内で取り扱っている代理店も多いので、お試しで使ってみたり、体験イベントへ参加してみるのもおすすめです。
DJI Mavic 3 EnterpriseシリーズとMatrice 4シリーズのモデル
前述の通り、各シリーズからはそれぞれ2つのモデルが登場しています。
- DJI Maivc 3 Enterprise(3E)
- DJI Maivc 3 Thermal(3T)
- DJI Matrice 4E
- DJI Matrice 4T
「E」や「Enterprise」と付くのは可視光カメラが搭載されているモデルで、主に測量での活用を想定しています。
「T」や「Thermal」と付くのは赤外線カメラが搭載されているモデルで、主に点検・調査などの活用を想定しています。
なお、赤外線カメラでも可視光での撮影ができるため、例えば外壁を撮影する際に、可視光・赤外線両方のデータを一度に取得することが可能です。
DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズ
大人気空撮用ドローン「DJI Mavic 3」をベースにした、DJIの中でもコンパクトな産業用ドローンです。
Mavic 3 Enterpriseの重量は915g、Mavic 3 Thermalが920gと軽量で、折り畳み式なので片手で持ち運びができ、展開してすぐに業務を始める事が出来ます。
(産業用ドローンとして広く普及しているMatrice 350 RTKは、ジンバルを取り付けると6kg以上あります)
最大飛行時間は45分で、広範囲にわたる飛行ミッションでも十分活用が可能な飛行性能を有しています。
DJI Mavic 3がベースということで、これまでコンシューマー機しか使ったことがないという方でも、抵抗なく扱いやすいモデルではないでしょうか。
DJI Matrice 4シリーズ
これまで「Matrice」と名の付くモデルは大型であることが多く、今回発表されたMatrice 4シリーズは現行のMatriceでもっとも小型の産業用ドローンです。
またMatrice 350 RTKやMatrice 30シリーズは防塵・防滴仕様でしたが、今回のモデルは保護等級がありません。その為最新のMatriceシリーズではありますが、どちらかというとMavic 3 Enterpriseシリーズの後継機というイメージになります。
それぞれのシリーズの特徴と比較
可視光カメラを搭載した「Mavic 3 Enterprise」と「Matrice 4E」、赤外線カメラを搭載した「Mavic 3 Thermal」と「Matrice 4T」それぞれの特徴とスペックをご紹介します。
サイズと携帯性
Mavic 3 Enterpriseシリーズのサイズは「3E」「3T」どちらも共通です。
- 折りたたみ時:221×96.3×90.3mm
- 展開時:347.5×283×107.7mm
DJI Matrice 4シリーズも「4E」と「4T」は同じです。
- 折りたたみ時:260.6×113.7×138.4mm
- 展開時:307.0×387.5×149.5mm
DJI Matrice 4シリーズはひと回り大きくなりましたが、どちらも片手で持ち運べるコンパクトさです。
重量も+300gほどなので、コンシューマー機の感覚で使用できます。
搭載カメラ等
DJI Mavic 3 Enterprise
- 広角カメラ:4/3インチCOMS 20MP
- 望遠カメラ:1/2インチCOMS 12MP
DJI Matrice 4E
- 広角カメラ:4/3インチCOMS 20MP
- 中望遠カメラ:1/1.3インチCOMS 48MP
- 望遠カメラ:1/1.5インチCOMS 48MP
Matrice 4Eには中望遠カメラが加わり、焦点距離が少し長くなっています。
望遠カメラの画素数もアップしていますね。
DJI Mavic 3 Thermal
- 広角カメラ:1/2インチCOMS 48MP
- 望遠カメラ:1/2インチCOMS 12MP
- サーマルカメラ:解像度640×512
DJI Matrice 4T
- 広角カメラ:1/1.3インチCOMS 48MP
- 中望遠カメラ:1/1.3インチCOMS 48MP
- 望遠カメラ:1/1.5インチCOMS 48MP
- サーマルカメラ:解像度640×512
こちらもMatrice 4Tには中望遠カメラが搭載されており、ズーム機能の強化がポイントです。
中望遠カメラでは10m先のネジや亀裂の確認もでき、超高解像度の望遠カメラでは最大250m先の標識を判別することも可能です。
各モデルの得意分野
搭載されたカメラの通り、赤外線撮影が可能な「Mavic 3 Thermal」と「Matrice 4T」は点検、防災、鳥獣駆除などに向いています。
一方、可視光カメラを搭載した「Mavic 3 Enterprise」と「Matrice 4E」は測量向けの機種です。
(Mavic 3 EnterpriseシリーズはRTKモジュールが別売りでしたが、Matrice 4シリーズは搭載した状態で販売されています)
またMatrice 4シリーズは補助ライトの搭載やナイトモードの強化により、夜間のデータ取得精度が飛躍的に向上しました。
各モデルの飛行性能
飛行時間
- Mavic 3シリーズの最大飛行時間:約45分
- Matrice 4シリーズの最大飛行時間:約49分
飛行時間はどちらもほぼ同じです。
これまでのMatriceシリーズはバッテリーを2本1セットで使用していましたが、Matrice 4シリーズは1本ずつ使用するMavicシリーズと同様の設計になっています。
最大飛行高度
- Mavic 3 Enterpriseシリーズの運用限界高度:6000m
- Matrice 4 シリーズの最大高度:6000m
電波や法律の関係でまずここまで高度を上げることはありませんが、どちらも同じスペックとなっています。
耐風性能
- Mavic 3 Enterpriseシリーズ:12m/s
- Matrice 4 シリーズ:12m/s
耐風性能も同様です。飛行性能はほぼ同じで、Matrice 4シリーズはよりカメラが強化されたという点がポイントですね。
気になる販売価格は
現在、DJI公式サイトで一部の産業用ドローンの販売を行っています。
製品によっては代理店経由での購入とセット内容の違いなどもあるため、購入をご検討の際にはぜひドロサツ!!へご相談ください。
DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズ
- DJI Mavic 3E Worry-Free Basicコンボ:830,220円→672,100円セール中
- DJI Mavic 3E Worry-Free Plusコンボ:881,220円→774,400円セール中
- DJI Mavic 3T Worry-Free Basicコンボ:779,900円
- DJI Mavic 3T Worry-Free Plusコンボ:851,400円
DJI Matrice 4シリーズ
- DJI Matrice 4E Worry-Free Plusコンボ:866,800円
- DJI Matrice 4T Worry-Free Plusコンボ:1,108,800円
※DJIの公式HPより引用