
業務用ドローン市場において、圧倒的な支持を集めているDJI Matriceシリーズ。
特に赤外線カメラ搭載モデルは、インフラ点検や災害対応など、幅広い用途で利活用が進んでいます。
これまで数多くのモデルが登場しているDJI Matriceシリーズですが、それぞれの特徴をまとめてご紹介します。
ぜひ業務に最適なドローン選びの参考にして頂ければと思います。
赤外線カメラとは
赤外線カメラとは、目に見えない赤外線(放射熱)を捉えて可視化するカメラです。
赤外線を照射することで暗闇でも撮影が可能となり、24時間稼働のコンビニエンスストア、コインパーキング等の防犯対策や、野生動物の観察や研究に利用されています。
日中の活用では、外壁点検・屋根点検・太陽パネル点検などへの活用が進んでいます。
赤外線カメラ搭載のDJI Matirceシリーズ
現在、販売されている赤外線カメラ搭載のDJI Matirceシリーズは、3種類です。
※DJI Dock2を除く・製造終了がアナウンスされたMavic 3 ThermalとZenmuse H20Tを除く
各ドローンの特徴と赤外線カメラについてみていきましょう。
なお、最大風圧抵抗=12m/s、最大飛行速度=23m/s、保護等級=IP55は共通です。
DJI Matrice 30T

これまで産業用のフラッグシップとされていたDJI Matrice 300 RTKと、ほぼ変わらない性能のままでコンパクト化されました。
強力な飛行性能と環境順応性を誇り、保護等級はIP55、-20℃~50℃の範囲の悪天候や温度にも対処出来ます。
Matrice 300 RTKやMatrice 350 RTKのようにカメラの取り外しは出来ませんが、光学・ズーム・赤外線・レーザーモジュールを搭載した一体型カメラが取り付けられており、幅広い分野でパワフルに使用できるモデルとして人気を集めています。
- 機体重量:3770g(バッテリー含む)
- 最大飛行時間:41分
- 運用限界高度:7000m
〔赤外線カメラ〕
- 光学デジタルと合わせて最大200倍ズームが可能
- 動画解像度:640×512ピクセル
- 焦点距離:40mm(35mm判換算)
- 絞り:f/1.0
- フォーカス:5m~∞
- 測定精度:±2℃または±2%
Matrice 350 RTK

2023年5月に、Matrice 300 RTKの後継機として登場した、DJI産業用ドローンのフラッグシップモデルです。
堅牢な設計を誇る本機は、パワフルな推進システム、しっかりした保護等級、優れた飛行性能で、広大な範囲を測定するミッションにも対応可能な最上位モデルです。
ナイトビジョンカメラのFPVが進化して、夜間の低照度でもしっかり対応できます。
そんなMatrice 350 RTKですが、赤外線カメラは搭載されているわけではなく、赤外線カメラが必要な業務では、Zenmuse H30Tと呼ばれるカメラを取り付けて使用することになります。※前モデルZenmuse H20Tは現在生産を終了しています
Zenmuseカメラが無いと撮影はできませんが、ドローン自体の積載量が大きいので、業務で使用できるペイロードを複数組み合わせて使用できるのもポイントです。
現在は、Matrice 350 RTKとZenmuse H30Tのセット販売のみ購入が可能になっています。(今後Zenmuse H30Tのみの購入が可能になる可能性もあります)
- 機体重量:6470g(バッテリー含む)
- 最大飛行時間:55分
- 運用限界高度:7000m
- 最大積載量:2.7k
Zenmuse H30T 赤外線カメラ
Matrice 350 RTK対応の赤外線カメラです。
34倍の光学ズームと最大400倍のデジタルズームが可能で、離れた場所からでも被写体をしっかり捉えることができます。
ズームレベルを高くすると、自動で超高解像度赤外線画像機能が起動し、クリアな映像を捉えることができます。
また、高解像度モードでは、小さな物体や人間、動物を捉え、セキュリティはもちろん夜間の観察や緊急対応、災害時の捜索救助活動にも大きく貢献できます。
広角カメラ、ズームカメラ、赤外線カメラの他、レーザー距離計とNIR補助ライトを備えています。
- 重量:920±5g
- サイズ:170×145×165g(長さ×幅×高さ)
- 保護等級:IP54
〔赤外線カメラ〕
- 動画解像度:1280×1024@30fps
- 焦点距離:24mm(35mm判換算焦点距離:52mm)
- 絞り:f/0.95
- デジタルズーム換算:32倍
DJI Matrice 4T

2025年最新の産業用ドローンのDJI Matrice 4シリーズは、コンパクトで軽量なのが特徴です。
レーザー測量計を標準搭載しており、アクセサリーも全て一新されているので、これまで以上のパフォーマンスを発揮できる機種になっています。(他モデルと互換性があればなお嬉しいのですが・・・)
カメラは広角カメラと望遠カメラに加え、中望遠カメラも搭載されています。
DJI Matrice 4E・4Tの2機種のうち、DJI Matrice 4Tが赤外線カメラを搭載、赤外線カメラ搭載機種の中では一番軽量の機体になります。
カメラの交換は出来ませんが、簡単に持ち運べて、展開すればすぐに業務に取り掛かれるのは嬉しいですね。
- 機体重量:1219g(バッテリー含む)
- 最大飛行時間:49分
- 運用限界高度:6000m
〔赤外線カメラ〕
- 動画解像度:1280×1024@30fps(スーパー解像度オン)640×51230fps(スーパー解像度オフ)※ナイトモードではスーパー解像度は無効
- 焦点距離:53mm(35mm判換算)
- 絞り:f/1.0
- デジタルズーム換算:28倍
更に新しくなった夜間撮影モードと、低照度魚眼全方向検知センサー、NIR補助ライトで、低照度環境でも優れた性能を発揮できます。
充実したオプション機器(拡声スピーカー、小型サーチライト)も揃っていて、使い勝手のよい機種です。
赤外線カメラの必要性
年々増加している自然災害においては、ドローンの導入がニュースで取り上げられることも少なくありません。
例えば、陸路が使えない場合に救援物資を空から運び、赤外線カメラを駆使した2次災害への対応、測量カメラを使用して被災地域のマッピングを行い、復旧の優先順位付けを行うなど、あらゆるシーンで使用され始めました。
またインフラ等の設備点検においては、従来の足場を組むコスト・工期の短縮に繋がり、作業員の安全確保もできるようになっています。
一般的な可視光カメラを搭載したドローンに比べると、赤外線カメラ搭載モデルは高価なものではありますが、それだけ活用シーンは増えており、ドローンを入れるメリットが費用的なデメリットよりも上回ってきていると言えるでしょう。
まとめ
今回は、DJIの現行機種である3つの赤外線モデルをご紹介しました。
「過去に赤外線ドローンを使ったことがあるけど、画像が荒くていまいちだった」「飛行時間が短くて、結局今までのやり方の方が早かった」という方もいらっしゃるかもしれません。
DJIでは、年々様々なドローンが開発されており、飛行性能・カメラ性能ともに年単位で飛躍的に向上しています。
ドロサツ!!では各モデルのお試しレンタルや、お試し後の購入でキャッシュバックキャンペーンも実施しておりますので、まずは費用感だけでもご確認いただければと思います。
またどのように機材選定すればいいか分からない、という場合はオンラインでヒアリングも実施しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。