様々な業種でドローンが活用される機会が増えてきていますが、測量の分野でもドローンの導入が進んでいます。
しかし、具体的にどのような流れで測量を行うのかイメージが掴めず、また導入費用が高額なこともあって、なかなか購入に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
今回はドローンで測量するメリットや測量方法など、測量分野におけるドローンの最新事情や必要な情報をまとめてご紹介致します。ドローン測量にご興味のある方必見です!
測量用ドローンとは?一般的なドローンとの違いや特徴について
測量用ドローンとは、その名の通り測量向けに開発されたカメラを搭載した産業用ドローンを指します。
「測量用」と呼ばれてはいますが、可視光画像を撮影できるモデルもある為、例えば点検用としても使うことができます。
測量用ドローンと一般的なドローンとの違い
★測量用ドローン
- 目的:測量・マッピング・3Dモデルの作成
- 搭載機器:高精度GNSS・LiDAR・マルチスペクトルカメラなど
- 測位精度:高精度(RTK/PPK対応)
- 飛行計画:自動飛行プログラムを使用
- ソフトウウエア:専用の測量・解析ソフト
★一般的なドローン
- 目的:空撮・点検など
- 搭載機器:可視光カメラ
- 測位精度:一般的なGPS
- 飛行計画:手動飛行が多い
測量用ドローンは効率性を求められるため、一般的なドローンよりも長時間飛行可能なモデルが多く、自動飛行プログラムを搭載しているものがほとんどです。
また精度が重要なためRTK機能に対応しており、基地局やネットワークと繋ぐことで数cm単位の誤差でデータ取得が可能になっています。
測量用ドローンを使用するメリット
測量用ドローンを使用するメリットとしては、従来の数日~数週間かかる地上からの作業と比べ、準備・撤収時間を含めても数時間~1日で完了することが挙げられます。
特に広範囲や地形の変化が大きい場所での作業はドローンのメリットをより活かすことができ、大幅なスピードアップやコストダウンが期待できます。
離着陸場所さえ確保できれば、複雑な地形や災害現場など、歩いて容易に入っていけない場所でも飛行ができ、なおかつ安全に作業を遂行できます。
地上からの測量と比較して作業時間が短縮される為、人件費の削減に繋がり、ドローンで取得した測量データの解析を簡単にできるソフトウェアも数々登場しています。
測量用ドローンを使用するデメリット
ドローンによる測量は多くのメリットを持つ一方、デメリットも存在します。
①ドローンの飛行には制限がある
航空法によってドローンの飛行に許可が必要な場合が多く、飛行禁止区域(空港周辺・人口密集地・高高度・軍事施設周辺など)では利用が制限されます。
またドローンに関する規制は年々変化しており、最新情報をしっかりと把握したうえで運用する必要があります。
ドロサツ!!にも頻繁にお問合せをいただきますが、現状ドローンの運用には必須とされている免許・資格はありません。
しかし、制限されたエリア・方法で飛行を行いたい場合は、きちんとドローンのスキルと知識を身に着ける必要があるため、ドローンスクールへ通ったり、資格取得を目指すこともお勧めです。
②天候による影響を受けやすい
測量などに活用できる「産業用ドローン」と呼ばれるモデルの中でも、保護等級の有無は異なります。
天候を見てから作業実施の判断を下せる業務での活用であれば問題ありませんが、保護等級のない機材は、突然の雨などで作業の中断が発生する可能性もあります。
作業の効率性を高めるために保護等級のついた機材がお勧めではありますが、機材が限られる・比較的大きいドローンになる・費用が高額になるといったデメリットもあります。
また、雨天時に飛行可能な性能を有していたとしても、空中の雨粒や地面に溜まった水たまりの影響等を受け、データ精度が低下する場合があります。
ドローンおよびカメラの特性を十分に理解したうえで、飛行計画を作成する必要があります。
③測量用ドローンとシステムの導入費用
新しい機材やソフトウェアの導入には費用がかかります。
また、これからドローンを使っていきたいという方であれば、まずは基本的な操縦方法を学ぶための講習等を受講する必要も出てきます。
もちろん、独学である程度使用方法を身に着けることはできますが、練習するための機材を用意する必要があり、練習場所も確保しなければなりません。
機材の購入を検討している場合は、まずドローンの導入にかかる初期費用を計算し、さらに毎年かかるメンテナンス費用や保険費用の見積もりも忘れずに取得しましょう。
想定している業務に対して機材構成が適しているのか、不足していた/オーバースペックだったということにならないように、販売店へ相談することもお勧めします。
また、活用できる補助金があるのかもぜひ確認してみてください。
できるだけ導入費用を抑えたいという場合は、レンタル・リースサービスを活用するという方法もあります。
毎年の保険料やメンテナンス費用の節約にもつながる為、使用頻度によっては「買うのではなく借りる」ほうがトータルでも安く済む可能性があります。
測量用ドローンの用途や活用事例
測量用ドローンが持つ幅広い用途について考えてみましょう。
測量用ドローンは、建設工事、農業、都市計画、鉱業、また遺跡の発掘調査等でも利用されています。何といっても人が立ち入れない場所での測量が容易に出来る・作業時間を短縮できるというのが大きなメリットです。
▼測量用ドローンの活用事例
- 土木工事の起工測量及び出来形測量
- 農地の地図データ作成
- 土木工事の現場監視
- 土量管理や基準点監視
- 遺跡発掘調査における現状把握
また点検分野で点群データが活用されることもあり、例えばLiDARカメラを搭載した測量ドローンで点群を取得し、そのデータを元に精密な自動飛行ルートを作成すれば、いつ誰が飛行させても品質が担保されたデータを取得可能になります。
ドローンを使用した2つの測量方法を紹介
測量用ドローンを使っての測量方法についてご紹介します。
測量用ドローンは、従来の測量に比べて短時間で広範囲のデータを取得できます。
特に写真測量とLiDAR測量の2つの方法が一般的で、それぞれ特徴や適した用途があります。
ドローンに搭載した可視光カメラを使用した写真測量
ドローンで撮影した地上画像を解析し、地上の形状や距離を測る方法です。
可視光カメラは、人の目で見える光(可視光)を利用して記録するカメラで、スマートフォンやデジタルカメラなどが該当します。
搭載したカメラで、測量したい範囲を一定の高度・間隔で撮影し、複数の画像から1枚のモデルを構築します。重なって撮影された部分が多いほど、複雑な形状でもモデル化が可能になります。なんとなくイメージが湧きましたか?
手軽で高精度な測量方法ですが、目で見える範囲のデータしか取得することは出来ない為、樹木や草で覆われた地面の測量は難しくなります。
- 計測方式:画像解析
- 精度:数センチ単位
- 植生影響:樹木の下の地形は測定困難
- 天候の影響:明るい環境が必要
ドローンに搭載したLiDARを使用したレーザー測量
レーザーパルスを地表や建物に照射し、その反射光を計測して対象物の3Dマッピングを行う技術です。
発射したレーザーパレスが、反射して戻ってくるまでの時間を測定して、距離と光の速度から対象物までの距離を算出、測定した距離を元にポイントクラウド(点群データ)を生成します。
(レーザーパルスとは、一定に繰り返す周波数で光を出力するレーザーの事です)
森林や山間部など写真測量が困難な場所に最適で、土木工事やインフラ点検、災害対応など幅広い分野で活躍できます。
- 計測方式:レーザー照射(距離計測)
- 精度:数センチ~ミリ単位
- 植生影響:樹木の下の地形も測定可能
- 天候の影響:曇り・薄暗い環境でも可(黒はレーザーを吸収するため、明るい環境での計測が推奨されています)
ドローンで測量する場合に必要な解析ソフト
ドローンを活用した測量では、取得したデータを正確に解析し実用的な測量結果を得るための解析ソフトが欠かせません。それぞれ「写真測量対応」「レーザー測量対応」などの特色があります。
DJI Terra
DJI製ドローンで取得したデータを解析し、3Dマッピングを行うための専用ソフトウェアです。
LiDARカメラ・可視光カメラどちらのデータにも対応しています。
点群データの処理、軌跡計算、点群精度の最適化、3D点群の標準形式の生成、DEM(デジタル高度モデル)と等高線結果の出力、高精度モデルの再構築などが可能です。
Pix4D
ドローンで撮影した画像をデータ化して、3Dモデルやオルソモザイク画像などを生成するソフトウェアです。フォトグラメトリーなる技術で、建設業、土木・測量、農業など幅広く利用されています。
Pix4Dには用途に応じた複数のソフトウェアがあり、目的に合わせて選択できます。
例えば、以下のものがあります。
- Pix4Dmapper:標準的な3Dマッピング・測量用ソフトウェア
- Pix4Dmatic1:大規模データセット向けの高性能版
- Pix4Dsurvey:点群データの解析・CAD統合用
- Pix4Dfields:農業向け解析(作物の健康状態分析など)
- Pix4Dreact:災害対応用高速マッピングソフト
くみき
くみきは国産のクラウド型ドローン測量サービスで、ドローンで撮影した画像をクラウド上にアップロードするだけで、自動的に3Dモデルを生成、測量・調査業務を圧倒的に効率化したソフトウェアです。
データはクラウド上で処理・保存されるため、インターネット環境があればどこからでアクセスが可能で、専門知識がなくても本格的な測量が行えます。
「ワンストップ&シームレス」で丸ごと管理できる月額制のシェアNo1クラウド型ドローン測量サービスです。
Metashape
デジタル画像と写真測量処理と3D空間データを生成する写真測量用ツールです。
ソフトウェアは標準バージョンとProバージョンがあり、インタラクティブメディアタスクには標準バージョン、ProバージョンはGISコンテンツのオーサリング用に設計されています。
ScanX
オンラインで複数のユーザーが点群データを観覧・編集、ダウンロードが可能なブラウザベースのプラットフォームです。
従来の点群処理ソフトウェアは、高価なライセンス制のダウンロード・インストールが必要でしたが、点群データが大容量なためデータ共有にも手間がかかっていました。
ScanXはこれらの課題を解決し、点群データの活用に大きく貢献しています。
点群の自動分類や共有機能など、ScanXで点群処理がもっと簡単になり、業務効率化に繋がります。
TerraMapper
テラドローン株式会社が開発した、ドローンで撮影した画像データから高精度な3Dデータを生成・解析をするソフトウェアです。
必要な解析を一つのアプリケーション上で行うことが可能で、施工管理の効率化やコスト削減ができます。
主な機能として、土量計算・面積計算・点群の間引き・グリッドデータ作成・断面図作成・等高線データ作成・DSMデータ作成・オルソ画像作成・レポート作成・点群作成・簡易CAD作成があります。また、サポート体制がしっかり整っていることも選ばれる理由の一つです。
測量用ドローンのおすすめモデル
それでは、おすすめの測量用ドローンを紹介します。
レーザー測量対応ドローン
DJI Matrice 350 RTK+Zenmuse L2
Matrice 350 RTKは、最大飛行時間55分に、最先端のAI性能、6方向探知&測位技術といった機能を多数搭載、現在の航空システムから着想を得て設計されました。高いパフォーマンス性と抜群の信頼性にAIの知性が加わっています。
Zenmuse L2は、フレームベースのLiDAR、独自開発の高精度IMUシステム、4/3型CMOS RGBマッピングカメラを一つに統合して、信頼性の高い地形データを取得できる、より高精度で高効率なDJI飛行プラットフォームです。
点群データだけでなく、通常の写真撮影も行えるので、幅広い用途での活用が期待できるモデルです。
写真測量対応ドローン
DJI Matrice 350 RTK+Zenmuse P1
Zenmuse P1は、飛行中0.7秒ごとに撮影可能な低ノイズ、高感度のフルサイズセンサーを装備し、一日の飛行で7.5㎢の範囲をカバーできます。
ジンバルが自動的に回転し、異なる角度の必要な写真を撮影します。構築に必要な写真だけが、飛行区域の外縁で撮影され、後処理の効率を20%から50%向上します。
利用用途としては、地形マッピング、土地測量、地質調査、天然資源管理、被災地モデリング(災害中、もしくは災害後の情報をリアルタイムで把握)等があります。
Matrice 4E
Matrice 4シリーズには、4Eと4Tがあり、TはThermal(サーマル)=赤外線カメラの頭文字です。
レーザー距離計によるスムーズな検出・測定等の先進的な機能を搭載しています。
強化されたセンシング機能により、これまでとは段違いに安全かつ信頼性の高いものになりました。
このシリーズのアクセサリーも大幅にアップグレードし、4Tは赤外線カメラを活用した点検・救命救助活動・公共安全の調査・害獣駆除等に適しており、4Eは測量、マッピング、土木建設、採掘といった空間計測用途向けに設計されています。
測量用ドローンの導入方法
測量用ドローンを導入の際は、ドローン本体はもとより、カメラやデータ解析ソフトといった周辺機器も一式揃える必要があります。また、ドローン保険の費用に加えて、場合によってはドローンを飛ばす操縦資格や、機材を扱うための講習の受講が必要になります。
①すべての機材を購入して揃える場合
②レンタルやリースで使用する場合
まずはこれら2パターンの見積もりの取得をお勧めします。
産業用ドローンや関連製品は、毎年のように新しい機材が発表されているため、原価回収できた頃にはもう新しいモデルが出ていた、ということも珍しくありません。
例えばカメラの付け替えができるドローン本体のみを購入して、カメラは業務にあわせて都度レンタルするというのもお勧めです。
測量用ドローンは非常に高額である為、導入してから後悔することがないよう、しっかりとドローンの導入をサポートしている会社と相談しながら検討してみてください。
まとめ
業務向けドローンの機能は、想像を超えるスピードで進化し続けています。
一度導入を検討したものの、気付けばもう別のドローンが発売されていて、結局どれを導入すれば良いのか分からない、どれくらいで原価回収できるのか想像つかない、というご相談も少なくありません。
導入コストや飛行規制、人材育成といった課題もありますが、レンタルやパイロット派遣、補助金を活用しながら、可能な限り負担を減らした導入方法のご提案が可能です。
ドロサツ!!では、「まず使ってみて買うか決める」ことができるので、何から準備すれば良いのか分からないという方も、ぜひお気軽にご相談ください。