2019年に農薬散布に関する規制緩和が実施されたことから、農薬散布の作業にドローンを導入する農家の方が増えています。今回はドローンを活用した農薬散布を紹介するとともに、ドローンによる農薬散布のメリットや注意点を解説していきます。
近年、作業効率アップを目指して機械化をはかる農家が増加傾向にあります。農薬散布作業においても、ドローンを利用した農薬散布に注目が集まっており、今後が期待されています。
今回は、ドローンを利用した農薬散布の概要やメリット・デメリットを紹介していきます。
ドローンを活用した農薬散布とは
かつては人の手で行われることが多く、重労働ともいわれてきた農薬散布作業ですが、近年はドローンを活用した農薬散布が増加傾向にあります。背景には、2019年に行われたドローンによる農薬散布の規制緩和があったこと、またドローンを利用した農薬散布は効率がよく、作業時間の大幅な時間短縮を可能としたことが挙げられます。
また従来空中から農薬を散布するのに利用されていた無人ヘリとドローンを比較しても、コストを大幅に抑えられるようになっています。
ドローンを利用した農薬散布の導入を検討する農家は、今後ますます増えていくことが考えられます。
ドローンによる農薬散布のメリット
ドローンを利用した農薬散布には、次のようなメリットが挙げられます。
- 1.軽くてコンパクトなので扱いやすい
- 2.作業時間の短縮が可能
- 3.時間を選ばず農薬の散布ができる
- 4.作物の安全性の向上が見込める
- 5.人体に対する影響をより少なく留められる
1.軽くてコンパクトなので扱いやすい
軽くてコンパクトなドローンは積み下ろしも簡単なため、一人でも扱いやすく、 従来の方法と比較し手軽に農薬散布がしやすい特徴があります。
かつての人力による農薬散布と比較しても、重いタンクを背負い、ホースを伸ばして農薬を撒く、といった重労働から開放されるため、作業の負担も軽減されます。
2.作業時間の短縮が可能
人力で散布するのに比べ、ドローンを利用した農薬散布では広範囲に農薬の散布が可能となります。
そのため、従来の農薬散布方法と比較し、作業時間の短縮が見込めます。
ドローンを利用した農薬散布は農薬散布の作業効率の向上にも役立つでしょう。 加えて、ルート設定の自動化を選択すると、さらなる工数の削減や操縦スキルに依存することなく農薬の散布が可能です。
3.時間を選ばず農薬の散布ができる
騒音の少ないドローンを利用した農薬散布では、早い時間帯の作業でも可能となっています。
自分の都合に合わせて手軽に農薬散布ができるのも、ドローンによる農薬散布
の大きなメリットとなります。
4.作物の安全性の向上が見込める
赤外線カメラなどドローンに搭載されたカメラを利用し、あらかじめ害虫が発生している箇所を検知したうえでの農薬散布が可能となっています。
また農薬を散布する必要がある場所のみを選んで作業できるため、減農薬の商品を生産したい場合にも適しています。
5.人体に対する影響をより少なく留められる
ドローンによる農薬散布を行うことで、直接農薬に触れる機会を減らせます。基本的に遠隔操作で農薬散布が可能なため、地上散布でありがちな農薬の微粉末の吸い込みや中毒の防止も可能となっています。
ドローンによる農薬散布の注意点
ドローンを利用した農薬散布を行う際には、以下の4つの点に注意しなければなりません。
- 1.農薬散布時に風の影響に考慮が必要
- 2. IT 知識を身に着けておく
- 3.農薬散布を行う前の申請が必要
- 4.人の手による作業より費用がかさみやすい
1.農薬散布時に風の影響に考慮が必要
ドローンでの農薬散布を行う場合は、風の影響に十分に考慮しておかなければなりません。
風の方向によっては、思いも寄らない場所に農薬が飛び散ってしまうこともあるので注意が必要となります。農薬散布を行う前に、あらかじめ風向きを考慮したうえで農薬の散布を行うようにしましょう。
2. IT知識を身に着けておく
ドローンの自動操縦や作物の生産管理といった技術を利用したいと思っても、少しもIT知識が身についていないと、スムーズなドローン導入は難しくなる傾向にあります。
少なくともパソコンやタブレットの操作など、ドローンを利用した農薬散布を行ううえで必要となる知識を前もって身につけておく必要があります。
3.農薬散布を行う前の申請が必要
ドローンを利用した農薬散布を行う場合には、事前の申請を行っていなければなりません。
国土交通省および都道府県・市区町村に対し、許可申請をとっておきましょう。 実際の申請方法や書類は後に紹介するので、確認のうえ申請を行ってください。 申請は個人からはもちろん、ドローンのメーカーや代理店からの代行申請も可能となっています。
4.人の手による作業より費用がかさみやすい
かつての人の手による農薬散布では、重労働ではあるものの、費用面では比較的安く済む点にメリットがありました。
しかしドローンを導入するのであれば、ドローンの購入費が必要となります。
基本的にドローン1機を購入するとなると、100万円程度はみておく必要があります。これは少しでもコストを抑えたいと希望する農家にとって、ドローン導入に二の足を踏んでしまう要因になっているかもしれません。
農薬散布でドローンを導入するのであれば、どれくらいの費用が必要かを理解しておかなければなりません。ドローンの購入費はもちろん、維持費・管理費・保険代も必要となります。資格取得をするためにはスクール代もかかります。
ドローンを利用した農薬散布を検討する場合は、準備しておくべき費用をいったん洗い出したうえで導入を試みてみましょう。
購入以外にも、必要なときだけに利用できる短期レンタルやリースといった選択肢もありますので、予算や使用したいタイミングに合わせた検討が大切です。
ドローンで散布できる農薬の種類
ドローンで散布できる農薬の種類は、無人航空機もしくは無人ヘリにより散布・滴下ができるものに限られています。すべての農薬がドローンで散布可能ではないため、利用前には確認を行いましょう。
また使用方法で、散布機器が指定されていない、散布もしくは全面土壌散布となっている農薬は使用方法や希釈倍率、使用量などを遵守できる範囲にのみ、ドローンでの散布に利用できます。
実際にドローンで使用できる農薬は、以下の農林水産省ホームページに記載されているので、参考にしてください。
農林水産省|ドローンで使用可能な農薬 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/nouyaku.html
ドローンで農薬散布するために必要な手続き
ドローンを利用して農薬散布をするために必要な手続きは、2019年の規制緩和以降、国土交通省からの飛行許可と承認のみとなりました。
以下、国土交通省に提出する飛行許可や承認の申請方法や申請書類を説明しま す。
国土交通省への飛行許可・承認の申請方法
ドローンを利用して農薬散布を行う場合は、散布作業を行う10日前までに申請を行う必要があります。
ただし10日以内に承認を受けられるとは限らないため、早めに申請を進めましょう。
申請はオンラインでも受け付けていますし、郵送や直接申請書類を持参しても問題ありません。
ドローンの飛行を予定している場所を管轄している空港事務所もしくは地方航空局が実際の書類提出先となります。
国土交通省への飛行許可・承認の申請時の注意点
申請の際には10時間以上のドローン操縦経験と、5回以上の農薬散布作業の実施経験が必要となるので、あらかじめ確認しておきましょう。ドローン飛行の承認に必要な技能や経歴などは、民間での講習を受講することで身につけられます。
また国土交通省ホームページに掲載されている団体の技能認定を取得すると、一部の申請書類が省略できます。
国土交通省への申請書類
国土交通省へ申請を行う際には、次の3つの書類を提出する必要があります。
- ドローンの機体の機能や性能に関する資料
- ドローン操縦者の飛行経歴や知識、技能に関する資料
- 空中散布をする場合に係る飛行マニュアルなどの安全確保体制に関する資料
上記3つの書類は一部の書類の省略が可能となっています。省略可能な書類は、以下の農林水産省ホームページに記載されています。
農林水産省|航空法に基づくの許可・承認続きについて https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/attach/pdf/120507_h eri_mujin-119.pdf
ドローンでの農薬散布にはドロサツ!!の農業用ドローンがおすすめ
説明のとおり農薬散布にはドローンに多くのメリットがあるものの、導入にはコスト面から不安を感じている場合も多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、気軽にドローンのレンタルが可能なドロサツ!!!の利用です。
ドロサツ!!では、1泊2日からドローンのレンタルが可能となっています。
農薬散布にも活用できるドローンも取り揃えているので、ぜひこの機会に導入をおすすめします。
以下、一部の商品を紹介します。
Agras MG-1P RTK 基本セット
Agras MG-1P RTK は、5機までの機体操作が可能となっており、農薬散布の作業効率アップにぴったりの農業用ドローンとなっています。
飛行安全性も高く、送信機には4Gワイヤレス通信機能を備えています。レンタル料金は、1泊2日69,800円、2泊3日74,800円(いずれも税抜)となっています。
AGRAS T20 基本セット
噴霧性能の高い AGRAS T20 は、広い農地や果樹園の上空から自律運転での農薬散布が可能となっています。
全方向デジタルレーダーにより、安全性の高い飛行が実現されており、作業効率の向上にも役立ちます。
レンタル料金は1泊2日79,800円、2泊3日84,800円(いずれも税抜)となっています。
※2021年10月現在の情報です。
ドローンの導入で農薬散布作業の効率化を目指そう
作業時間の短縮や作物の安全性向上など、ドローンによる農薬散布にはさまざまなメリットがあります。
ただし農薬散布時の風の影響や事前申請、費用面など、メリットと同時に注意点も押さえておく必要があります。
しかしかつての人の手を使った方法や無人ヘリを利用した方法と比較しても、ドローンによる農薬散布には大きなメリットがある点は否めません。
農薬散布へのドローン活用を検討する際は、ぜひ今回紹介した点を念頭に上手な導入をはかり、作業の効率化を目指してみることをおすすめします。
ドローンレンタルのドロサツ‼では、空撮用や産業用ドローン、水中ドローンなど幅広い用途のドローンレンタルが可能です。
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監修者
森本 洸生(もりもと こうき)
株式会社 drone supply &control (ドローンエバンジェリスト)
<略歴>
中学生の時に国土交通省の全国包括申請許可取得し、鹿やイノシシによる農作物被害を守る害虫駆除のプロジェクトに参画するなど、若い世代のドローン第一人者。現在では様々なドローン事業に参画するなど多方面で活躍中。
<所有する資格>
- DJI CAMPスペシャリスト
- DJI CAMPインストラクター
- DJI CAMP ENTERPRISEインストラクター
- 無人航空従事者試験1級
- CRPI公認指導員
- 総飛行時間400時間以上