多くの産業で活用されるようになったドローンは、いざ導入するとなると高額 な費用が必要となります。
今回は、産業用ドローンを自社にスムーズに導入するために活用できる補助金を取り上げ、補助金の概要や申請方法などとともにご紹介します。

近年、さまざまな分野で利用されるようになった産業用ドローンを導入するに あたっては、高額な費用が必要となります。
ドローン導入に利用できる補助金を活用し、自社への効果的なドローン導入を 目指してみてはいかがでしょうか。

今回は、産業用ドローンに活用できる補助金や申請方法を紹介します。
なお、本記事の情報は2021年10月時点の情報になります。
最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
産業用ドローンの導入で活用できる補助金をご紹介
産業用ドローンの導入で活用できる補助金には次のようなものがあります。
- ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助 金)
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- 人材開発支援助成金
- 事業再構築補助金
ここでは、ものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金の2つを取り上げ、 それぞれの補助金の概要と申請方法を説明します。

ものづくり補助金とは
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補 助金)は、中小企業や小規模事業者を対象とし、主に景気対策を目的とした補 助金制度です。
革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善に求められる設備投 資の支援が目的となっており、1,000万円までの補助を受けられます。
補助金の採択率は30〜40%程度とされており、実際に補助を受けるには、事業計画書を作成し、一次審査・二次審査を通過する必要があります。
ものづくり補助金の対象者
補助を受けられる対象者は、3年から5年の事業計画書を作成して従業員に表明している中小企業や小規模事業者となっています。
また、事業計画書を作成する際には、付加価値額を年平均3%以上増加させる ことや給与の総支給額を年平均1.5%以上増加させることなどの要件が求めら れます。
ものづくり補助金の対象となる主な経費
ものづくり補助金の対象となる主な経費は以下となります。
- 機械装置費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権関連経費
■機械装置費
→機械装置の購入およびシステム構築費、工具や器具の購入や制作、借用に関する経費
■技術導入費
→事業を遂行するために要する知的財産権の導入に関する経費
■専門家経費
→補助金を活用して遂行する事業のため、専門家に依頼した際の謝礼や旅費にあたる経費
■運搬費
→運搬料や宅配および郵送料に該当する経費
■クラウドサービス利用費
→補助金対象の事業を遂行するにあたり、利用するクラウドサービスの利用に関する経費
■原材料費
→試作品開発に必要となる原材料や副材料の購入に関する経費
■外注費
→新製品やサービスの開発に要する加工・設計・検査の一部を外注した費用
■知的財産権関連経費
→新製品やサービスの開発成果を事業化する場合、必要となる知的財産権取得に関する経費
ものづくり補助金の申請手順
ものづくり補助金の申請から支払いまでの手順は以下のとおりとなっています。
- gBizIDの申請および取得
- 申請書類・添付書類の準備
- 申請・採択通知
- 交付申請・決定
- 補助事業実施期間(事業実施・中間検査・実績報告)
- 確定検査(交付額の決定)
- 補助金請求および補助金の支払い
1. gBizIDの申請および取得
ものづくり補助金は電子申請システムjGrantsでの申請となっています。
そのため、jGrantsでの申請を行う際に必要なgBizIDの取得が必要となりま す。
取得手続きには2、3週間ほどを要するので、早めに取得手続きを行っておく 必要があります。

2. 申請書類・添付書類の準備
申請には、事業計画書の用意が必要となります。
事業計画書は、補助金の審査に大きな影響を及ぼすため、しっかりとした内容 にしておかなければなりません。
補助金の申請要件となる基準を満たしておくことはもちろんのこと、設備投資 を行った場合の費用対効果も審査の基準となります。
審査通過だけを考え、非現実的な内容の事業計画を策定してしまうとかえって 悪い印象を与えてしまうので注意しましょう。
3. 申請・採択通知
ものづくり補助金の申請を行う際は、中小企業庁から出される公募開始の案内 (公募要領)に従い、手続きを行わなければなりません。
詳細な手続き内容は、年度ごとにものづくり補助金事務局のホームページに掲 載されるので、十分確認したうえで申請を行いましょう。
なお、申請を行う際は、決められた期間内に応募をしなければなりません。 申請手続きが完了すると、1カ月から2カ月後に採択結果が通知されます。
4. 交付申請・決定
申請を行ったあと、手続きの1~2カ月後には採択結果が公表されます。 採択された場合には、申請者本人に対し、メールにより結果が通知されるので、 交付申請を行いましょう。
5. 補助事業実施期間(事業実施・中間検査・実績報告)
交付申請後、交付決定通知を受け取ったところで、発注や契約を実施します。 補助金を受け取るためには、あらかじめ定められた期間内(2021年度は10カ 月以内)にすべての補助事業を完了させる必要があります。
期間内に終えておかなければならない補助事業として、発注および契約はもち ろんのこと、検品や検収・支払い、そして事業の成果の確認までが含まれます。 実績報告までの期間によっては、中間監査を受ける場合もあります。
補助事業の終了後、補助金事務局に実績報告書を提出します。
6. 確定検査(交付額の決定)
ものづくり補助金事務局に実績報告書を提出し、事務局側で報告書の確認が完 了したところで、最終的な補助金額が決定します。
確定検査を行う際には、実際に取得した設備の確認を兼ね、実地調査が行われ る場合もあります。
7. 補助金の請求および補助金の支払い
補助金交付額が確定したところで、補助金の請求および支払いが行われます。 補助金受け取り後は、完了後5年間は、事業化状況報告書の提出が必要となり ます。報告は年に1回行います。

小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者を対象にした持続化補助金とな ります。 経営計画作成後、販路開拓や生産性向上の取り組みを目的に活用できる補助金 となっています。 補助金の補助率は4分の3、上限額は100万円となっており、機械装置導入に 必要な経費の一部が補助されます。
小規模事業者持続化補助金の対象者
小規模事業者持続化補助金の対象は、以下の条件を満たす小規模事業者および 特定非営利法人となります。
- 常時使用する従業員数が5人以下の商業
- サービス業(宿泊業・娯楽業除 く)
- 常時使用する従業員数が20人以下の宿泊業
- 娯楽業
- 常時使用する従業員数が20人以下の製造業その他
なお、上記の条件以外にも、資本金や出資金の株式保有割合や課税所得の年平 均額などといった詳細要件も設定されているので、補助金事務局のホームペー ジなどで確認のうえ、申請を行いましょう。

小規模事業者持続化補助金の対象となる主な経費
小規模事業者持続化補助金の対象となる主な経費は以下となります。
- 機械装置費
- 広報費
- 展示会出展費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 専門家謝金
- 設備処分費
- 委託費
- 外注費
- 感染防止対策費
■機械装置費
→製造装置・移動販売車両およびITツール購入に関する経費
■広報費
→新たなサービスを紹介するための宣伝の作成や配布に関する経費
■展示会出展費
→オンライン開催での展示会や商談会の出店料
■開発費
→新商品や新システムの試作開発費用
■資料購入費
→補助事業に関する資料の購入費用
■雑役務費
→補助事業にあたって雇用したアルバイトや派遣社員の費用
■借料
→機器や設備のリースレンタル費用
■専門家謝金
→専門家の指導を受けた際の謝礼金
■設備処分費
→新サービス導入時のスペース確保に関する設備処分費用
■委託費・外注費
→自社で実施できない業務を第三者に依頼した際の費用
■感染防止対策費
→感染症防止を目的とした対策に要した費用
小規模事業者持続化補助金の申請手順
小規模事業者持続化補助金の申請から支払いまでの手順は以下のとおりとなっ ています。
- 申請準備
- 申請
- 外部有識者などによる審査
- 採択および交付の決定
- 補助事業の実施・実績報告
- 確定検査および補助額の確定
- 補助金の請求および入金
1. 申請準備
補助金申請に必要な書類準備を行います。
経営計画および補助事業計画、宣誓・同意書など、準備すべき書類は補助金事 務局ホームページに記載されているので、確認の上、申請を行いましょう。 また、こちらの補助金もjGrantsを利用した電子申請となるので、gBizIDの取得まで行っておきましょう。
2. 申請
jGrantsでの電子申請による受付となります。 郵送での受付は行っていませんので注意しましょう。
3. 外部有識者などによる審査
申請内容について、外部有識者による審査が行われます。 審査の結果、評価の高い案件から順に採択される形となります。
4. 採択および交付の決定
採択された案件は、補助金事務局ホームページに公表されます。 採択された場合は、採択通知書と交付決定通知書の通知を受けます。
5. 補助事業の実施・実績報告
交付決定通知書の受け取り後、計画に沿って事業を実施していきます。 事業は補助事業実施期限までに完了しておく必要があります。 事業終了後は、期日までに実績報告書を提出します。
6. 確定検査および補助額の確定
実績報告書や請求書などの審査および確認が事務局側で行われ、補助金額が確 定します。
7. 補助金の請求および入金
確定した補助金額が事務局より通知されるので、確認後、請求を行います。 事務局での確認後、補助金が入金されますが、手続きのため、請求から振込ま で数週間はみておく必要があります。 なお、補助事業の終了月翌月から1年間は、事業効果の報告を行う必要があり ます。
産業用ドローンの導入の際には上手に補助金の活用を
産業用ドローンを事業で利用するには、本記事で紹介した補助金の活用がおす すめです。 補助金を利用することで高額な出費を抑えることも可能となります。 補助金の活用を検討する際は、関係する事務局のホームページなどで最新情報 を確認し、早めの申請準備を行ってスムーズなドローン導入につなげましょう。
