今注目の農業用ドローンとは?資格や免許が必要?最新情報をご紹介

昨今、農業分野でも人手不足が問題となり、その解決策としてドローンによる農薬散布が注目され、導入をお考えの方も多いのではないでしょうか。

ただ、農業用ドローンを導入しようとしたときに、複雑な「免許」や「資格」といったキーワードが出てきて、導入に二の足を踏む方も多いかと思います。

今回は農業用ドローンを導入するにあたって、農業用ドローンがどのようなものなのか、そして資格や免許が必要なのかなど、最新情報を交えて導入までの流れを紹介します。 

 

農業用ドローンとは?必要な資格や免許は?

農業用ドローンとは、農業分野で活用される無人航空機のことで、主に以下の目的で使用されます。 

  •  農薬散布:水田や畑に農薬・肥料・除草剤を効率よく散布
  • 播種:種まき作業の自動化
  • 生育管理:作物の成長状況を空からチェック
  • 害虫・病気の早期発見:マルチスペクトルカメラで健康状態を解析 

これまで人力で行っていた作業がドローンで代替可能になれば、大幅な時間短縮や負担の軽減が期待できそうです。

しかし、使うとなっても何を準備すれば良いのか、どこに相談すればいいのか、どれくらいのコストがかかるのか、という点が気になりますよね。

 

マルチスペクトルカメラ搭載ドローンは原則不要

マルチスペクトルカメラを搭載したドローンで撮影をすると、植物の成長や健康状態を可視化できます。

通常の写真を見ても分からないことが、マルチスペクトルカメラを使用することで、植物の健康状態を日々効率的にモニタリングすることができ、生物医学研究、食物選別、園芸、精密色検出などにも用いられている技術です。

マルチスペクトルカメラ搭載ドローンでは農薬を散布するわけではなく、一般的なドローンと同じように飛行・撮影を行うものなので、現状このドローンを導入するにあたって資格や免許は求められていません。

(飛行エリアや飛行方法によっては、申請手続きが必要となる可能性があります)

 

農薬散布ドローンはメーカーにより異なる

農薬散布用ドローンは、農薬や肥料の散布に使用するタンクやノズルを搭載したマルチローター型の無人航空機です。

一般的なドローンとの一番の違いは、ドローンを飛ばして撮影やデータ収集を行うのではなく、空中から散布を行うという点です。

また農薬タンクなどを搭載する為ドローン本体のサイズも大きく、空撮用ドローンとは取り扱い方法も大きく異なることから、メーカーによっては講習の受講や資格取得が義務化されているものもあります。

例えば「DJI」「ヤマハ」「クボタ」などのメーカーからドローンが発売されていますが、それぞれ操作方法や安全機能が異なります。

 

講習を受講しないとそもそもドローンの購入さえできないものもあれば、特に講習などを受講することなく使用できるドローンもあります。

しかし、主要なメーカーから発売されているドローンのほとんどは講習の受講や認定資格の取得が必要なものばかりで、不要なものに関しては補助金の対象から外れているケースも多いことから、実際はほぼマストで取得しなければならないものだと認識しておく必要があります。

 

農業用ドローンの資格・免許取得がおすすめのケース

農業ドローンの運用にあたって必ずしも、資格や免許が必要なわけではありませんが、ケースによっては必要または取得したほうがいい場合もあります。 

では、資格や免許があった方がいいケースをみてみましょう。 

 

①大規模な範囲の農薬散布が必要な場合

農薬散布を行う場合は、前述の通りほとんどの主要メーカーで講習が実施されています。

民生用ドローンとは異なり、農薬を散布する大型のドローンであることから、資格不要なドローンを探すよりは、安心して使用できるメーカーのドローンの導入と同時に資格・免許を取得することをお勧めします。

また、メーカー認定資格を保有することによって、今後農薬散布の案件を受注しやすくなるというメリットもあります。

 

②作業者の高齢化が進んでいる場合

農業を営む人の平均年齢が高くなり、若い担い手が減少している問題があります。 

現在、日本の農業従事者の平均年齢は約67歳(2023年時点)と高く、農薬散布をはじめとする作業負担も大きくなっています 。

高齢化と人手不足が進む農家にとって、ドローンを活用したスマート農業を行うことで作業負担の軽減になるとともに、最先端技術を積極的に取り入れることで、新たな人材確保につながる可能性もあります。

 

これまでにドローンを使ったことが無いという方でも、きちんと講習を受講すれば一から操作方法を学ぶことができます。

いきなり運用できるか不安だという場合は、慣れるまでオペレーターを派遣してサポートをしたり、デモンストレーションの実施も行っているので、疑問や不安な点があればご相談ください。

また内製化が難しい場合は、ドローンによる農薬散布を外注するという選択肢もあります。

 

③補助金が使える可能性がある場合

どのメーカーのドローンを選んだとしても、導入にかかる費用は高額になってしまいます。

しかし、農業分野におけるドローンの利活用は補助金対象となるケースもある為、事前に補助金を活用した導入ができるのかを確認し、可能な限り費用を抑えて導入する方法を調べておきましょう。

 

農業用ドローンを導入するメリット・デメリット

農薬散布や生育状況の管理などに役立つ農業用ドローンは、作業効率の向上や人手不足の解消に貢献できることがお分かりいただけたと思います。 

一方で、導入にはコストや運用上の課題もあります。 

 

メリット①短時間で効率的に作業できる

これはドローンを利用する上での最大のメリットと言えます。

ドローンの起動~離陸~作業開始までにかかる時間は製品の改良で年々短縮されており、農林水産省の報告によれば1ヘクタールあたり2時間かかっていた農薬散布が約15~30分で完了したという事例もあります。 

圃場が広いほど削減率は大きく、導入費用がかかったとしても得られる成果は高いでしょう。

 

メリット②作業範囲が明確になる

農業用ドローンを使用した農薬散布では、基本的に作業範囲を選択し、自動飛行での運用が可能になります。

GPSやマッピング技術を使用することで、ムラのない均一な散布が可能です。 

風の影響を考慮する必要はありますが、隣接する区画に農薬を散布することもなく、指定された範囲内で無駄なく作業を行うことができます。

 

メリット③人手不足の解消

先述の通り、農薬散布にかかる時間を大幅に短縮することができるため、高齢化や人手不足が課題となっている農業現場においては、少人数で作業をすすめることができます。 

 

デメリット①製品によっては資格・免許が必要

続いてデメリットですが、農業用ドローンを操作すること自体に免許は不要ですが、農薬散布を行う場合は資格や許可が必要です。 

DJIやクボタの農業用ドローンを使用する場合は、UTC農業ドローン協議会などの認定施設での技能認定が求められるので、機材を購入する前または購入した後(製品により異なります)に講習を受講することになります。

 

デメリット②農業用ドローンの導入費用が高額

農業用ドローンの大きなデメリットとしては、導入・維持にコストがかかるという点です。 

補助金が活用できたとしても100%カバーされるわけではないので、定期的なメンテナンス費用・講習費用も計算したうえで、導入を検討する必要があります。

見落としがちなポイントとして、例えばバッテリーやプロペラは消耗品であるため、使用状況に応じてパーツ代がかかってくることになります。 

 

農業用ドローンを使うために必要な資格・免許の取得方法

必要な資格・免許はメーカーにより異なる為、まずは機材の価格や性能から、導入するドローンを選定するところから始めます。

ドローンが決まったら販売店へ問い合わせを行い、製品と講習の見積もりを取得し、まずは導入時にどの程度の費用がかかるのかを確認します。

これまでドローンを使用したことが無い場合は、バッテリーの本数やタンクのサイズ等を元に、実際に飛行させたいエリアに対応できる構成になっているか・反対にオーバースペックで無駄な費用がかかっていないか、販売店としっかりと打ち合わせすることをお勧めします。

前項目でご説明の通り、ドローンは導入費用だけでなく維持費も発生する為、どの程度のランニングコストが発生するのか、何かあった時の相談窓口がどこになるのか、いつまでサポートが受けられるのかといった点も確認しておくようにしましょう。

 

資格・免許を取得したら購入したい!おすすめ農業用ドローン

格段に作業効率が上がる農業用ドローンですが、今回はお問合せが多いDJI製の人気モデルをご紹介します。 

 

DJI AGRAS T50

最大16L/分という流量率が実現します。 

最大50°の斜面で、丘稜地や果樹園での作業には追加の遠心式ノズルを取り付けることで、流量率を24L/分まで増加できます。 

 

  • 重量:39.9kg(バッテリー除く)
  • サイズ:2800×3085×820mm(アームとプロペラ展開時)
  • 設定可能な最大飛行半径:2000m
  • 容量:40L
  • ペイロード:40kg
  • 内臓バッテリー駆動時間:3時間18分
  • 外部バッテリー駆動時間:2時間42分 

 

DJI AGRAS T30

特に果樹園に効果的な性能を発揮する機種です。 

DJIデジタル農業ソリューションを使用したT30は、効果的な方法で肥料の消費量を削減し、収穫量を増やすのに役立ちます。 

16個のノズルは広範囲をカバーし、1時間あたりの作業効率は最大16haです。 

 

  • 重量:26.4kg(バッテリー除く)
  • サイズ:2858×2685×1790mm(アームとプロペラ展開時)
  • 容量:30L
  • ペイロード:30kg
  • バッテリー駆動時間:2時間 

 

DJI AGRAS T10

持ち運びに便利なように機体を70%まで折りたたむことができ、コンパクトでありながら最大6m幅まで散布が可能です。 

RTKモジュールの高精度な測位も標準装備されているので、高性能な自動運行が可能です。 

 

  • 重量:12.2kg(バッテリー除く)
  • サイズ:1958×1833×553mm(アームとプロペラ展開時)
  • 容量:8L
  • ペイロード:8kg バッテリー駆動時間:2時間
  • 1時間あたりの作業効率:最大6.7ha 

 

DJI Mavic 3 Multispectral

DJI Mavic 3 Multispectralは農薬散布ではなく、圃場の管理に特化した機体です。 

(このドローンの使用にあたり、免許や資格は必要ありません)

 

RGBカメラとマルチスペクトルカメラを搭載し、作物をスキャンして生育情報を分析します。 

人間の目には見えない作物の生育状況をデータ化し、効率よく収穫量を増やすことができます。 

目に見えない情報を可視化し、農業を「見える化」することは、コスト削減と生産性の向上に大きく貢献します。 

 

  • 重量:951g
  • 347.5×283×139.6m(アームとプロペラ展開時) 最大飛行時間:43分
  • 最大飛行距離:32km 

 

まとめ

農業用ドローンは、農薬散布や生育管理などの用途で活用され、作業効率の向上や人手不足の解消に貢献します。 

資格・免許は用途によって異なるため、購入前にはいくつかのモデルの相見積もりを取ることをお勧めします。

ドロサツ!!では、デモンストレーションイベントへのご招待や、提携スクールのご紹介も行っていますので、まずは費用感だけ確認したい・実際に機材を見てみたいというご相談もお気軽にどうぞ。

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