【進化するドローンカメラ】革新的な撮影機能を搭載:DJI Zenmuse H30シリーズ

 

ドローンにおいて、特に目を惹く進化のひとつが搭載されるカメラの性能向上です。

民生用ドローンの開発で世界をリードしてきたDJIは、2024年5月に「Zenmuse H30シリーズ」を発表しました。

前モデル「Zenmuse H20シリーズ」から実に3年半ぶりのアップデートになります。

本記事では、最新のH30シリーズとH20シリーズを比較して、カメラの特徴や性能を解説します。

 

Zenmuse H20シリーズとは

まずは、これまでMatrice 300 RTK用カメラとして人気を集めたDJI Zenmuse H20シリーズをおさらいしてみましょう。発売当時はまさにドローンカメラ界の革命的発展でした。

DJIが開発した高性能なドローンカメラシステムで、Zenmuse H20とZenmuse H20Tの2種類が発売されました。

広角カメラ、ズームカメラ、レーザー距離計を一体化したハイブリットカメラであり、Hはハイブリットを表しています。さらにH20Tはサーマル(赤外線)カメラも搭載しています。

 

カメラ構成

<広角カメラ>

  • センサー:1/2.3インチCOMS
  • レンズ:DFOV(対角視野):82.9°
  • 焦点距離:4.5mm(判換算 24mm)
  • 絞り:F2.8
  • フォーカス:1m~∞

 

<ズームカメラ>

  • センサー:1/1.7インチCOMS 20MP
  • レンズ:DFOV(対角視野)66.6°~4°
  • 焦点距離:6.83~119.94mm(判換算 31.7~556.2mm)
  • 絞り:F2.8~F11(通常) F1.6~F11(夜間撮影)
  • フォーカス:1m~∞(ワイド) 8m~∞(望遠)

 

<レーザー距離計>

  • 測定範囲:3~1200m(直径≧12mの垂直面までの距離、反射率20%)
  • 測定精度:±(0.2+D×0.15%)Dは垂直までの距離

 

<サーマルカメラ(H20T)>

  • センサー:非冷却Voxマイクロボロメータ
  • レンズ:DFOV(対角視野):40.6°
  • 焦点距離:13.5mm(判換算 58mm)
  • 絞り:F1.0
  • フォーカス:5m~∞
  • デジタルズーム:1倍、2倍、4倍、8倍
  • 画像解像度:640×512@30 Hz

 

市場での評価

H20シリーズは、その多機能性から、非常に高い評価と信頼性を得ています。

ズーム機能とレーザー距離計の組み合わせにより精度の高い詳細な観察や、測定を必要とする現場での活躍が特に目立っています。

IP44の高い防塵性と防水性を備えていることから、幅広い分野に適応できますね。

 

Zenmuse H30シリーズとは

では、H20シリーズの進化系として登場したZenmuse H30シリーズはどうでしょうか?

これまでの広角カメラ、ズームカメラ、赤外線カメラ、レーザー距離計にNIR補助ライトを搭載したZenmuse H30と、プラス赤外線カメラを搭載したZenmuse H30Tの2種類が発売されました。

DJI Matrice 300 RTKに加え、後継ドローンMatrice 350 RTKとも互換性があります。

さらに、DJIの最新映像補正アルゴリズムで望遠の揺れを軽減して、鮮明な画像を撮影する事ができるようになりました。

 

 

カメラ構成

<広角カメラ>

  • センサー:1/1.3インチCOMS、有効画素数48MP
  • レンズ:DFOV(対角視野):82.1°
  • 実際焦点距離:6.72mm(判換算 24mm)
  • 絞り:F1.7
  • フォーカスモード:MF、AFC、AFS

 

<ズームカメラ>

  • センサー:1/1.8インチCOMS 有効画素数40MP
  • レンズ:DFOV(対角視野)66.7°~2.9°
  • 実際焦点距離:7.1~172mm(35mm判換算 33.4~809.3mm)
  • 絞り:F21.6~F/5.2(通常)
  • フォーカスモード:MF、AFC、AFS

 

<レーザー距離計>

  • 測定範囲:3~3000m

  *一般的な対象物の範囲:草原2000m、森林1900m、路面1700m

  • 測定精度:≦500m:±(0.2m+測定距離×0.15%)>500m:±1.0m

 

<サーマルカメラ(H30T)>

  • センサー:非冷却Voxマイクロボロメータ
  • レンズ:DFOV(対角視野):45.2°
  • 焦点距離:24mm(35mm判換算 52mm)
  • 絞り:F/0.95
  • フォーカス:5m~∞
  • デジタルズーム換算:32倍
  • 動画解像度:1280×1024@30 fps

 

市場での評価

非常に遠くまで視認できるH30シリーズの圧倒的なズーム性能と、高解像度のカメラで高評価を得ています。

Zenmuse H30シリーズの登場で、DJI Matrice 300 RTK・350 RTKも、より活躍の幅が広がるとものとして期待されます。

 

H20シリーズとH30シリーズを比較して

 

  • H30は40PM高解像度ズームカメラを搭載し、最大34倍の光学ズームと400倍のデジタルズームが可能です。H20の同23倍、200倍に比べて大きく性能がアップしています。
  • H30TはH20の4倍の解像度と、最大32倍のデジタルズームを実現しています。
  • IPが44から54になったことで、より過酷な環境でも操作が可能です。
  • Zenmuse H30の安定したアルゴリズムは、送電線などの揺れを軽減してクリアな映像で点検できるようになりました。
  • 低照度時に夜間撮影モードに切り替えることで、昼から夜まで連続して作業ができ、操作効率が向上しました。
  • 赤外線性能は強力になり広い温度範囲を測定、赤外線ライトを有効にすれば、ズームカメラで近赤外線照明を活用できます。
  • 高利得モードで正確な温度測定を行い、低利得モードで広い温度範囲を測定し、高解像度で温度差の小さな物体や人、動物を検知・観察できるようになりました。
  • 温度測定範囲は-20℃~1600℃と、H20Tの3倍になりました。


H20シリーズも素晴らしい機能を搭載していますが、H30シリーズはさらに向上した機能を備えていることがわかりますね。

 

Zenmuse H30とH30Tどちらを選ぶべきか

Zenmuse H30とH30Tでは、赤外線カメラの有無で100万円ほどの価格差があるので、業務に最適な機材を選びたいですね。

一般的なインフラ点検では、H30でも充分活用が可能です。

目視で判別可能な劣化・破損状況の確認が主な目的であれば、可視光カメラ+解析ソフトの利用で対応ができます。

 

一方、H30Tが搭載している赤外線カメラは、見えない物を可視化する事が出来るので、外壁の浮きや漏水の確認、セキュリティ対策、災害救助活動などの緊急時に活用することができます。

 

まとめ

DJI Zenmuse H30&H30Tは、世の中の様々なニーズに対応しています。

最適なドローンカメラを選ぶためには、具体的な用途やニーズに合わせて検討する事が重要です。

ドロサツ!!では、可視光カメラ・赤外線カメラのお試しレンタルも行っています。

「購入前に性能差を確認したい」「イメージしているデータが撮れるか確認したい」という場合は、是非コストを抑えて使えるレンタルサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

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