ドローンを飛ばしたいと思ったとき、多くの人が最初に戸惑うのが「これって許可が必要なの?」という疑問です。ネット上にはさまざまな情報があふれていますが、条件を正しく理解しないまま飛行してしまうと、思わぬトラブルにつながることもあります。
実は、ドローン飛行における許可・承認は「すべての飛行に必須」というわけではありません。飛行場所・高度・方法によって必要かどうかが決まります。
この記事では、航空法を軸に「どんなケースで許可が必要なのか」「申請はどこまで必要なのか」「初心者が勘違いしやすいポイント」を整理し、安心してドローンを運用するための考え方を解説します。
ドローン飛行における「許可」とは何か
すべてのドローン飛行に許可・承認が必要なわけではありません。
航空法では、飛行する空域や方法によって規制が設けられており、一定の条件に該当する飛行を「特定飛行」と呼びます。特定飛行では、原則として許可・承認が必要ですが、機体認証や操縦者技能証明などの条件によって、一部の手続きが不要になる場合もあります。
許可と承認の違い
ドローン関連の手続きでは「許可」と「承認」という2つの言葉が出てきます。
許可:飛行場所や空域に関する制限を解除するもの
承認:飛行方法に関する制限を解除するもの
例えば、人口集中地区(DID)の上空で飛行する場合は原則として「許可」が必要となり、夜間飛行や目視外飛行など、特定の方法で飛行する場合は原則として「承認」が必要となります。飛行する空域と方法の両方が規制対象となる場合は、それぞれの条件を確認することが大切です。
ドローンの許可が必要になる代表的なケース
ここからは、実際に許可・承認が必要になる代表的な飛行条件を見ていきます。
なお、航空法では、ここで紹介する条件以外にも、催し場所の上空での飛行や危険物の輸送、物件の投下などが規制されています。実際に飛行する際は、場所だけでなく飛行方法についても確認することが大切です。
空港周辺の空域で飛行する場合
空港周辺には、航空機の安全を確保するため、ドローンの飛行が制限される空域が設定されています。規制対象の空域で飛行する場合は、原則として事前に許可を受ける必要があります。また、空港の設置管理者や管制機関との事前調整も必要です。
飛行を計画する際は、規制範囲と必要な手続きを確認しましょう。
地表または水面から150m以上の高さで飛行する場合
地表または水面から150m以上の高さの空域でドローンを飛行させる場合は、原則として事前に許可が必要です。ここでいう高度は、海抜ではなく、飛行する場所の地表または水面からの高さを指します。
測量や空撮などで高高度の飛行を計画する場合は、飛行場所の標高も踏まえて高度を確認しましょう。
人口集中地区(DID)で飛行する場合
人口集中地区(DID)の上空でドローンを飛行させる場合は、原則として許可が必要です。DIDに該当するかどうかは見た目だけでは判断できないため、地図などで事前に確認しましょう。
ただし、機体認証や操縦者技能証明などの条件を満たし、必要な安全対策を講じている場合には、許可手続きが不要となるケースもあります。
飛行方法によって必要になる「承認」
場所だけでなく、飛ばし方によっても承認が必要になります。
夜間飛行
航空法上、日中とは日の出から日没までの時間帯を指します。
この時間帯以外にドローンを飛行させる場合は、原則として承認が必要です。夜景撮影やイベント撮影などを計画する際は、飛行時間に加えて、機体の灯火や周囲の安全を確保するための対策も確認しましょう。
目視外飛行
目視外飛行とは、操縦者が自分の目で機体を常時監視できない状態で行う飛行です。
モニターを見ながら操作するFPV飛行などが該当する場合があります。目視外飛行は原則として承認の対象ですが、補助者の配置が常に必須となるわけではありません。飛行経路や周囲の状況に応じて、必要な安全対策を講じることが重要です。
補助者を配置せずに目視外飛行を行う場合は、飛行経路や周辺環境に応じた安全対策が特に重要です。実施する飛行形態に応じて、最新の審査要領や必要な手続きを確認しましょう。
人や物件から30m未満での飛行
ドローンを第三者や第三者が管理する物件から30m未満の距離で飛行させる場合は、原則として承認が必要です。
建物や車両などに接近する空撮・点検業務では、飛行経路や周囲の状況を事前に確認し、安全を確保する必要があります。なお、ここでいう物件には、操縦者や飛行に直接関わる人が管理するものなど、一定の例外があります。
ドローン許可申請の基本的な流れ
許可・承認が必要な場合、申請は国土交通省の「ドローン・ラジコン機の飛行許可・承認申請システム(DIPS2.0)」を通じて行います。
申請に必要な主な情報
・機体情報(重量、型式、登録記号)
・操縦者情報(経験・講習受講歴など)
・飛行内容(場所、日時、方法)
・安全対策
申請時には、機体の性能や登録情報、操縦者の情報、飛行する場所・日時・方法、安全対策などを入力します。機体の仕様や必要書類を事前に確認し、申請内容に不備がないよう準備しておきましょう。
包括申請と個別申請
・包括申請:一定の条件を満たす反復・継続的な飛行について、最長1年間の許可・承認を受ける方法
・個別申請:特定の飛行場所や日時、飛行内容に応じて申請する方法
業務で定期的にドローンを飛行させる場合は、一定の条件を満たせば包括申請を利用できます。
ただし、空港周辺や地表・水面から150m以上の空域での飛行など、場所を特定した申請が必要となるケースもあります。また、趣味目的の飛行など、包括申請では対応できないケースもあるため、飛行の目的や条件に応じて申請方法を確認しましょう。
ドローン許可に関するよくある誤解
ドローンの飛行許可・承認については、「小型のドローンなら申請はいらない」「自分の土地なら自由に飛ばせる」など、誤った認識を持っているケースも少なくありません。
しかし、許可・承認の要否は、機体の大きさや飛行する土地の所有者だけで決まるものではありません。飛行する空域や方法、機体の重量、適用される法令など、複数の条件を確認する必要があります。
また、許可・承認を取得していても、すべての場所や方法で自由に飛行できるわけではありません。ここでは、ドローン初心者が特に勘違いしやすい3つのポイントを解説します。
小型ドローンなら許可はいらない?
航空法上の「無人航空機」は、機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上のものを指します。そのため、100g未満の機体は、航空法上の無人航空機に関する飛行許可・承認制度の対象外です。
ただし、100g未満であっても、重要施設周辺での飛行を規制する小型無人機等飛行禁止法や、自治体の条例、飛行場所ごとのルールなどが適用される場合があります。機体が小さいという理由だけで、自由に飛行できると判断しないようにしましょう。
私有地なら自由に飛ばせる?
自分が所有する土地であっても、ドローンの飛行が自由に認められるわけではありません。航空法による空域や飛行方法の規制は、土地の所有者が誰であるかとは別に適用されます。
また、土地の管理者による飛行制限や、施設独自のルールなどが設けられている場合もあります。私有地で飛行する場合も、空域の規制や周辺環境、土地の管理上のルールを事前に確認することが大切です。
許可を取れば何をしてもいい?
ドローンの飛行許可・承認を取得しても、あらゆる飛行が自由にできるわけではありません。許可・承認には対象となる空域や飛行方法などの条件があり、その内容に従って飛行する必要があります。
また、飛行する場所や方法によっては、別途必要な手続きや安全対策が生じることもあります。許可・承認を取得した後も、飛行計画や周囲の安全を十分に確認し、関係する法令やルールを守って運用しましょう。
安心してドローンを運用するために大切なこと
ドローンの許可申請は、単なる事務手続きではなく、安全に飛行するための計画を立てる作業でもあります。機体の性能を理解し、操縦者のスキルに合った飛行計画を立てることが重要です。
また、許可・承認の取得だけでなく、機体の登録状況や飛行場所の規制、気象条件、周囲の安全なども事前に確認する必要があります。機体の購入やレンタル、操縦・安全講習などを通じて正しい知識を身につけ、必要に応じて専門知識を持つ窓口に相談しながら、安全な運用を目指しましょう。
まとめ|ドローン許可は「知っていれば怖くない」
ドローン飛行における許可・承認は、複雑そうに見えて、考え方を整理すれば決して難しいものではありません。
「どこで」「どんな飛ばし方をするか」を一つずつ確認していくことが、安全で合法なドローン運用への近道です。
正しい知識を身につけたうえで、ドローンの可能性を安心して広げていきましょう。
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