最新技術が続々と登場するドローン業界の動向を振り返ります。
AIによる自動飛行の進化や長距離飛行の実現、高精度センサーの実装など、ここ数年でドローンの性能は飛躍的に向上しています。
これまでは空撮目的で使用されることが多かったドローンですが、今や未来を切り開く新技術を搭載したモデルも存在します。
測量や点検以外において、どのような場面で導入が進んでいるのか注目トピックをご紹介します。
脅威と新しい防衛技術の進化
日本海上自衛隊は、新しい水中⻑距離無人潜水艦ドローン(XLUUV)の開発を進めています。
このドローンは、⻑時間にわたる自律運用が可能であり、様々なモジュールを装備することで多岐にわたる任務に対応可能です。
また、日本は米国と共同でドローンを中和するための高出力マイクロ波技術の研究を進めています。
高出力マイクロ波技術とは、マイクロ波の照射により、対象物のアンテナや電磁的隙間等から侵入し、電子機器を故障・破壊させる技術の事です。
(防衛省のホームページに詳しい解説が掲載されていますので、ご興味のある方はどうぞ)
日本沿岸警備隊のドローン導入
2022年10月に運用が始まったSeaGuardianドローンは、2025年に追加で2機配備予定で、調達契約を締結しました。
広範囲の海上監視の任務に使用される予定です。
現在の3機から5機になり、より海上での救難活動や災害時の対応、不法漁業や密輸、海賊行為の監視強化等に対応できるようになります。
SeaGuardianの特徴としては、まず4,300kmに及ぶ長い航続距離と35時間の航続時間、高い監視能力が挙げられます。
さらに、レーダーで船影を捉え、360度撮影可能な高性能カメラと赤外線カメラで目標物の映像をオペレーション室に伝送できます。
この無人ドローン機の導入により、沿岸警備力のさらなる向上が期待されます。
2025年には、運用拠点を現在の青森にある海上自衛隊八戸航空基地から、福岡県にある北九州航空基地に移転することが決まっており、周囲が海に囲まれた同基地では24時間の運用が可能になるとされています。
福島第一原子力発電所の小型ドローン調査
2011年に起きた未曾有の大地震「東日本大震災」。
その際に大打撃を受けた福島第一原発では、小型ドローンを使用してダメージを受けた原子炉内の溶融燃料を調査しました。溶融燃料の除去作業を進めるために、ドローンでの情報収集を試みたのです。
調査用ロボットが計画通りに進まず、中止となるトラブルも発生しましたが、これまで確認出来ていなかった内壁の損傷の度合い、つらら状・塊状の物体の確認等に成功しました。
2024年の1月から3月にかけて1号機でのドローン調査が実施されましたが、3号機は1号機より配管が狭いため、大きさを3分の2に改良したドローンを使って2025年以降に実施する予定です。
国際的なドローン利用の動向
中国は、新しい偵察および攻撃用ドローン「Wing Loong-10」を東シナ海上で運用しており、日本もこれに対応するための監視活動を強化しています。
一方、米国は沖縄に MQ-4CTriton を配備し、地域の監視能力を高めています。
また、米国は「Wingmanドローンプロジェクト」に日本を含める予定です。これにより、両国の防衛協力が一層強化される見込みです
Wingmanドローンプロジェクトとは?
2024年6月にエアバスが発表したWingmanのコンセプトは、現代戦争における無人航空機の重要性と、その無限に広がるであろう可能性です。
有人戦闘機にドローンを随伴させる能力は、新たな戦術的可能性を開き、世界中の空軍の能力を大幅に向上させるでしょう。無人機(ドローン)が有人戦闘機と相互作用するというアイディアは以前からありました。
米国ではそのための戦闘・偵察用無人機の開発をAuduril社とGeneralAtomics社の2社で進めています。台湾有事を念頭に安価での大量生産が見込まれます。こういった無人機開発を含めたプロジェクトに日本を参加させようとの動きがあるのです。
まとめ
このような一連の動向は、ドローン技術が軍事だけでなく、災害対応や環境監視など、幅広い分野での活用が進んでいることを示しています。
いかに現代の技術進化および国際政治において重要な役割を担っているかを浮き彫りにしていますね。